家守綺譚 (新潮文庫)/新潮社

梨木香歩 著

綿貫征四郎は、英語学校の非常勤講師を辞め、物書きに専念しようとしていた。そこへ、亡くなった親友、高堂の父親から、家の守をしてくれないかと頼まれる。その庭付き二階家に住んでみると、サルスベリに好かれたり、河童や人魚がやってきたり、高堂の姿まで現れるなど、次々に不思議なことが起こるが、綿貫以外の人間は誰も驚かず、淡々とやりすごしていく。

なんとも不思議な話。奇想天外なのですが、同じトーンが一貫して流れていて、心地良く、ユーモラスでもある。

「リュウノヒゲ」という章に出てきたことば「――死んでいようが生きていようが、気骨のある魂には、そんなことあまり関係がないんですよ。」という隣のおばさんの言葉が好き。