恋心など直接渡すのをはばかる内容の手紙を、
伝えたい人の近くに落として拾わせた置手紙、落とし文。
平安時代からあり、落書(らくしょ)といわれていました。
口で言いにくい密告など誰が書いたとも分からないように文書にして、
道や宮中の廊下などに落としてウワサの種にするといとうこともあったそうです。
オトシブミという昆虫の名前は、若葉に卵を産み付け、
くるくると葉巻状に巻いて切り落とし地面に落とした(葉が幼虫の餌となり、敵から子を守る)姿に
由来しています。
練り切りの落とし文は、その葉を模して作られた和菓子です。
丸めた餡を巻き込むようにして葉っぱがくるりと巻かれた状態、
葉の上に白い粒のような餡が置かれています。
若葉の美しいこの時期、茶道の世界では炉(畳の中に掘ったかまど)から
風炉(畳の上に置くかまど)へと道具やしつらえも変わります。
落とし文は初風炉の茶事でも好まれる練り切りです。
本当の落とし文の葉は、くるくると巻き込まれているし、
卵は中に産み付けられていますので、
今の言葉で言えば、かなり盛っていると言えますね(*'▽')。
でもこのスタイルが定番なんです。
お菓子の姿や由来は、受け継いで次の世代に伝えていかなきゃと思い、
書いていくことにしました。
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