昨日はラクロス関東学生リーグ男子D1 Aブロックの開幕3試合について考証したが、今回は Bブロックの開幕3試合の結果について検証をし、今期がどうなりそうか検討をしたいと思う。
先ずは Bブロックの構成
Bブロックは昨年学生日本一となった日本体育大学を含め、慶應義塾大学に、プレシーズン関東最強となった早稲田大学に明治大学、武蔵大学を加え、更に2部から昇格した青山学院大学が参戦する、5校のリーグ戦ファイナリストが揃う、より厳しいブロックとなっている。
<プロローグ>
それぞれの大学の思惑というのが錯綜をしていると考えられるのがこのブロック。
日本体育大学は、前回優勝の翌年もファイナル4には残ったがそこで敗北。以降2023年優勝までに立て直しの時間を要した経験も踏まえて、ずっと強い日体大を目指したチームとなる。
慶應義塾大学は再びの日本一奪還に向けて、新たな体制で臨む初年度で結果を出すことを求める。
早稲田大学は、昨年ファイナル4を逃したことからの復活を果たさなければならない。
明治大学は2022年もう少しの所で逃した日本一の座を目指すためにやって来た事を、結果に結び付ける事。
武蔵大学は2021年のファイナル進出で達成できなかった事の借りを返す準備は整えた。その結果を求めに行く。
青山学院大学は、久々の1部昇格でファイナリスト達に立ち向かう準備をしてきたが、(正直なところ)どこまで立ち向かう事ができるのか。
上記は、ここでの想像ですので、各校の思惑は???(こういったことを考えながらリーグ戦を見ると又、その結果にも新たな意味が見えてくるものです。)
<試合考察>
★慶應義塾大学 vs 明治大学
諸般の事情から、日本体育大学より先に行われたこの試合は、2022年2度に渡って死闘を繰り返した両チームの2年ぶりの対戦となったのだが。攻守の柱が万全な状態で臨んだ、慶應義塾大学がそれぞれの仕事を全うして勝ったという試合になった。
先にも述べたが、春の東京六大学戦では明治大学が今期主力の活躍、特に主将でATのキーマン3番佐藤選手の3得点等の働きで勝利したが、この試合では、その佐藤選手に対して慶應義塾の打つ手は何か注目していた。
そして試合が始まると、FO,守備の数字的には互角となるも、攻撃機会を渡さず倍以上のショットを放った慶應義塾の懐の深いラクロスの勝利となった。
データを見てみよう。
前半は、ショット数以外は互角のデータが揃う。しかし、得点差はショットの数の差以上に 5対0 という差になってしまった。何故か?以下の事が考えられる。
① 明治大学佐藤選手のショットは0(と見えた)
② 明治大学のクリアは難航した
①について
明治の攻撃の要の佐藤選手に対して、慶應義塾は守備の要22番小川(健)選手がマンマークに付き動きを完全に封じた。
それによって明治の攻撃がブレイクスルーを見出せなかったのに対して、慶應義塾の守備は破綻を起こすことなく、明治の攻撃機会を奪う、もしくはゴーリーの対応範囲に誘導できた。
②について
慶應義塾の中盤のライドもが効果的で、容易にクリアを許さなかった結果
前半の5対0へと繋がった。
3Qに入り、明治もライドを強め、有利なところで勝負できるようになり、得意のファストブレイク佐藤選手のアシストで0番金井選手が決めるなど反撃のきっかけを作ったが、4Qでも、慶應義塾の守備を崩しきれず、慶應義塾の芸術的な得点も加わり、慶應義塾の勝利となった。
慶應義塾(白)右から二番目7番田代選手のBtBアンダーショット
さらに慶應義塾は8番松本選手の得点など、プラス材料も加わっていた。働くべき選手が働き、伏兵までも力を発揮した慶應義塾に対して、要の選手が抑え込まれ攻め手を失った感が強い明治というのが、この試合の見方だった。
そういう意味では、相手エースを封じた慶應義塾22番小川(健)を含めた守備の持つ意味の大きい試合だった。
★武蔵大学 vs 早稲田大学
プレシーズンの関東最強となった早稲田大学だが、まだ得点力不足を指摘する声が聞かれた。この試合の結果を見ると得点力不足と見える理由は、少ないショット数にも見える、ショットを撃たない事にありそうだ。
実際には、3Qを除き(3Qでもだが)ショットを撃てるところで撃たず、完全なタイミングでしたショットが打たれていないような印象を受けた。
これが、ショット力不足からくる戦術なのかもしれないが、「巧より強たれ」の早稲田からすると物足りなさを感じた人は少なくなっただろう。
データを見てみよう
0番永岡選手の極めて高い動きと、得点力は魅せたが、永岡選手から導き出されたショット機会にもっと反応しても良かったのではないか?攻撃成功率の数値が物足りない事でも裏付けられている。
ラクロス応援チャンネルでは日ごろから日本男子ラクロスの、先ずショットを撃って、撃って勢いをつけるというやり方をあまり良しとしない立場だが、もう少し攻撃のリスクは負うべきであろう。守備においては、今年もテンマンディフェンスでボールを奪うリスクを負うのだから。
下記は、早稲田のテンマンDFを抜いて、武蔵ゴーリー18番井上選手がゴールを奪ったシーン。
テンマンの隙を走り抜けたゴーリー(白左から2番目)
ショットを放ち
決まった。→左がショット後のクロス、→右がゴールした地点
一方の武蔵大学は、攻撃機会も多く取れた想定通りの試合となったと思われるが、枠内ショット率の低さ、そして下に行ってしまいセーブをされる攻撃の、精度の向上が求められるところだろう。その為にもアウトサイドシューターの出現が望まれるところだろう。次戦が慶應義塾大学戦であることを考えるとその重要度は高いと考える。
★日本体育大学 vs 青山学院大学
スタッツも一緒に掲載したが、まだ初戦という事もあったか、ミスも多い日体大に対して、青山学院は日体大同様にショットまで持ち込めなかったというのが現実だろう。
CTOは取れたが、取り返されてしまったという事が数値的には言える。
FOの改善と、奪い返されない、ライド対策は1部チーム向けに早急に構築する必要がある。
対する日体大だが、課題は多かった。反則を含めてミスが多かった事もあるが、攻撃成功率の低さは日体大らしからぬ数値だ。
若いチームのテストもあったとも思われるが、FOの良さとゴーリーパフォーマンスを含むDF以外の課題は多かったと見ている。次の早稲田大学戦でその修正の結果が問われることになった。
<こぶ平's Eye>
次戦の戦いスケジュールが発表されたが、このブロックはある程度、点の取り合いとなる試合が増えそうだ。
そんな中、現時点では攻守のバランスが、高い次元で良いのは慶應義塾大学のように見えた。
日本体育大学の修正進化の余地も多いので、この2チームと他の4チームとの対戦を中心にリーグ戦が回っていくだろう。
両校の次戦は
8月15日(木) 17:00 1部B 早稲田大学 vs 日本体育大学 駒沢オリンピック公園総合運動場第二球技場
8月17日(土) 16:00 1部B 武蔵大学 vs 慶応義塾大学 アミノバイタルフィールド
それでも、武蔵大学vs早稲田大学の引き分けがあり、得失点差の関わる結果になることは間違いない。一戦一戦での得点の重みが増した今季の予選Bブロック と言える。
次の試合が待ち遠しい。
次回は女子の方に行きたいのだが、女子の開幕シリーズはU20代表練習スケジュール等で消化が遅れている。今週末の4試合後又語ることになるだろう。
7月20日(土) @大井ホッケー競技場サブピッチ
9:40 1部B 慶應義塾大学 - 青山学院大学
7月21日(日) @駒沢オリンピック公園総合運動場第一球技場
10:20 1部B 中央大学 - 法政大学
12:50 1部A 早稲田大学 - 学習院大学
7月21日(日) @日本体育大学世田谷C多目的グラウンド
17:50 1部B 日本体育大学 - 成蹊大学
これらも楽しみだ。
なお、日本ラクロス協会のWebSiteにおいて、8月のリーグ戦スケジュールが男女とも先ほど発表されている。詳しくはそちらを参照して欲しい。
https://www.lacrosse.gr.jp/event/2024-collegiate-leagues/
やっぱりラクロスから目が離せない。
こぶ平