大学ラクロス詳報#関東開幕戦を紐解く!**混戦の予兆*女子編 | 鼓舞 平(こぶ平)のラクロス応援チャンネル

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7月7日(日)日本全国に先駆けて、大学の関東リーグ戦が開幕した。まだコロナ禍の影響が残った世代が4回生となり、昨年からの試合経験を持つ選手が多い中、各チーム間の差が少なくなったと言われている。

特に男子においては、昨年の日本体育大学、法政大学が体現したような、前年度の入れ替え戦経験チームが優勝、準優勝をするという下剋上、戦国時代に差し掛かったと考えている。

そして、女子も昨年慶應義塾、明治、日本体育、立教、東海、青山学院、早稲田、に続き久々に新たなファイナル4進出校の中央大学が現れた(2009年の新制リーグ戦からの話)。

男女とも、戦国時代突入を思わせる関東リーグ戦の開幕戦は実にそれを象徴する試合になったと言える。

詳しく振り返ることにする。今回は女子編。

<女子開幕戦>

立教大学(2023年関東/全国2位,ファイナル4 13回出場*1、関東リーグ優勝 3回*2)

vs

明治大学(2023年関東ファイナル4。ファイナル4 12回出場*1、関東リーグ優勝 3回*2)

新生学生リーグ戦開始当初からトップを争う学校年の対戦。しかもスタイルが異なるチームの戦いだけに、スタジアム満員の観客を集めて開催された。そしてその観客が盛り上がる熱い試合になった。結果から言えば、、、、 引き分け 、、、、

シーズンを占ううえで最も複雑な結末を予想させる結果となった。詳細を見て行こう。

【概要】

一目瞭然だが、前後半ではっきりとモメンタムが行き来した試合だ。結果的に、3Qの明治大学のイン・ザ・クリースの反則が無ければ明治大学の勝利だったとも見えるが、単純にそうとも言いにくい面はある。

【詳細】

この試合のポイント

① 試合への入り方

② ドローが勢いを大きく左右する試合

③ キーマンの動き

★スターター

●立教大学

G:0番大西(サッカー167cm)、DF:2番大木(ハンドボール),6番佐藤(ハンド&バスケットボール3年169cm),8番川端(バスケ主将)、MF:3番水倉(ラクロス)、14番田村(ラクロス2年)、15番生駒(ラクロス2年)、AT:1番相田(ラクロス)、4番石井(ラクロス3年172cm)、7番山田(バレーボール)

●明治大学

G:75番村田(ソフトボール)、DF:5番八尾(バスケットボール)、13番加藤(バスケットボール3年)、97番赤津?(ボート3年)、MF2番齋藤(バスケットボール主将)、3番竹内(ソフトボール3年)、57番田村(バスケットボール165cm)、67番加藤(ハンドボール3年173cm)、AT:4番熊谷(サッカーDraw167cm)、72番吉田(バスケットボール)

分かる範囲で上記のようなスターターだった。

ポイントは立教大学が、昨年までDFだった3番水倉選手をMFに上げて攻撃に対して分厚い構成にするとともに、ティーンズラクロス経験者を多く配して、攻撃の精度を高めようという意図が見えた事。

一方の明治大学は165cm以上3人を含む大型構成で攻撃の強さをポイントに立教大学のゾーンDFに向かいそうに見えた事。

であった。

<1Q>

立ち上がり、ドローに強さを持つ明治4番熊谷選手のドローから明治がポゼッションを得るが、立教のDFに拒まれターンオーバーを許すと、立教は様子見を含めたスローブレイクを実行。緩急をつけた攻撃でショットの機会を探すが、得点を決めたのは今季攻撃陣のポイントの一人となった3番水倉選手。左を駆け上がり角度なしから豪快に決めて先制した。

そこからは、ドロー周りを制した立教が確実にポゼッションを得て、明治に攻撃権を与えずに11番豊田選手のインサイドブレイク

4番石井選手の巧みなバックアンダーのショットを決め、1Q立ち上がりのバタつきを無くして、試合をコントロールした。

ここでこの試合のデータを見てみよう。立教も得点以外にショットは打たなかった。そしてターンオーバーがとても少ない。頭から明治はオールコートの守備で立教大学のボールを奪いにかかったが、立教はうまくコントロール、キープして効率よく得点をした形だ。結果的に経験の豊富なアタックの起用が功を奏した形だ。一方の明治は最初のドローからの攻撃を立ち上がりの緊張からか攻め焦り、奪われると、その後は勢いが空回りボールも奪事は少なくショットを撃てずに終了した。

<2Q>

当然ここで、明治サイドでも立て直しを図り、さらに積極的なDFを仕掛けるが、結果的にこれが明治に災いし、ウーマンダウンを強いられ、その間に立教3番水倉選手にセットプレイと1オン1で2点を奪われる。

さらに大舞台で抜擢された立教2年生カルテットが躍動。15番生駒選手が思い切ったインサイドブレイクで6対1と点差を広げ、終了する。

立教大学が前半7本のショットで6得点と上手い攻撃を見せたと言える。一方の明治大学は行かなければという思いが空回り、立教の経験に上手くいなされたと言える。

この時点で、このまま一方的に立教ペースで行ってしまうのではないかという雰囲気がスタジアムを包んだ。

<3Q>

後半の危惧は、前半空回りした明治の体力が尽きはしないかという点もあって、明治側には重ぐるしい空気が感じられた。

しかし開始早々、その雰囲気を変えたのが、明治のドローチームだ。4番熊谷選手が味方のコントロール下にボールを落とし明治の攻撃権に繋げる。そして大型AT陣のパワープレイからFSを得るパターン。FS後のターンを2番齋藤主将のインサイドブレイクで勢いが回復する。

その後は明治のパワフルな攻撃に守勢一方となる立教。ゴーリーの懸命なセーブ後のクリアも、明治ゴーリーの大胆な前方でのパスカットで進まず、逆にファストブレイクから明治のインサイドでのショット、、、、、これはイン・ザ・クリースで無効。しかし、ダブルファールによるスローをモノにすると、パワープレイからFSを獲得、それをパスからフリーの57番田村選手がきっちり決めて6対3と追い上げムードで終えたのがこの3Q。

前半と異なり、ドローをコントロールした明治が、パワープレイに徹して活路を見出した。これが大きなターニングポイントとなった。

立教は、上手くかわしてきた明治ライドにパスまで封じ込まれ、3番水倉選手の突破力も発揮できず防戦に回る展開となった。

<4Q>

立て直したい立教も、懸命な前でのDFからファストブレイクを狙うと、パスカットに出た明治ゴーリーが反則となり退場さらに30秒後DFのイエローが続き、立教がポゼッションから4番石井選手がフリーできっちり決めて7対3とリードを広げたのが4Q 5分。ここで折れないのが、明治、開幕戦というのも手伝い、その後はドロー取られるも、ブレイクからマンダウンでの攻撃を4番熊谷選手がパワーで決めて盛り返す。そして23番乙幡選手が続き7対5と追い上げると明治の攻勢に拍車がかかり、立教のタイムアウトも効を奏さず、ドローをコントロールするとパワフルにプレイを続ける明治はFSを得た57番田村選手がきっちり決めてハットトリックを達成 7対6 1点差。

残り2分を切って、立教はどう耐えるかという雰囲気の中、再びドローは明治。そして勢いで明治の速攻が決まり 残り1分で同点となった。そして最後の1分はボールの奪い合いが続く中でホイッスル。両者にとって後に続く引き分けとなった。

<こぶ平's Eye>

ポイント①試合の入り方

これについては、立教が良かった。完全にコントロールし効率よく得点を挙げる。明治の入れ込み過ぎとも言えるプレスや、攻撃を上手く交わしながら、攻撃権をキープする。これが崩れたのは何故か?

ポイント②ドロー

3Q以降ドローをグランドボール勝負に切り替えた明治が、良い出足で支配して、立教に攻撃権を渡さなかった。これで受け身になった立教は下がらざるを得なくなり、明治の攻撃に幅が出た。

これは4Qでも変わらず、最後は確信的に仕掛けた攻撃で得点を重ねる事ができた。

ポイント③

立教DFのキーマンとして8番の川端主将の動きと6番佐藤選手のパワフルな守備と見ていたが、明治の4Qで見せた仕掛けには後手に回り、3番水倉選手のDF参加も明治の仕掛けに対して後手に回りFSを与える結果になった。

又、攻撃のキーマン1番相田選手が明治の対応に消されてしまったことで、10点取れるような攻撃が出せずに終わったと言える。

明治のキーマンは前半ドローを含めて仕事ができなかったが、後半の4番熊谷選手を起点にしたドロー戦略の切り替えと、選手の特徴を生かしたパワフルなプレイが印象的だった。

最後にもう一つ付け加えると、4Qまで尽きなかった明治大学の運動量はこの暑い夏の試合で最大の武器になる気がした。

 

巧 と 剛 の戦いという今までにない構図で展開したこの試合。明治サイドから見ると、開幕戦の緊張があったとはいえ、2Qでの立て直しが間に合わなかったのが悔やまれる。立教サイドから見ると、攻められるポイントを呈したとも言える。更に2年前に取った、ゴーリーまで戻すスローブレイクの攻撃に終始し、逆に明治のパワープレイに後手に回った事に対して次戦以降の対策がどのように立てられるか注目したい。

そしてもう一つ述べておきたいことがある。

☆リードしての3Qの戦い方

これは、昨年の全日本大学選手権決勝のスコアだが、一見すると今回の試合と同様、立教大学がリードして3Qを終えたように見えるだけだが、両試合とも3Q終了前に相手に得点を許して追いつく状況を作ってしまっているのだ。この3Qの終わり方については対応が必要だろう。これはどのチームにも言える事だ。

 

結果的に、順位決定に得失点差が決め手となることは確実視される。そして昨年得失点差を乗り切ったのが明治大学だが、今年は全ての戦いで容易な相手がいないだけに、この引き分けの意味はシーズン後半になって改めて考えたい。

 

最後に得失点差についてなのだが、今回も開会式で関東学生リーグの取り決めで、勝ち点が同じ場合、当該校の得失点差、得点、ドロー率の差の順番で評価されるようだが、今年は暑さの関係で試合時間が短縮される場合がかなりの割合で考えられる。

試合は60分の75%即ち、15分Qなら第3Q消化時点で試合が成立。12分Qなら4Qまでとなる。

 

しかし、この場合通常の15分 4Qと比べて75%の時間しかプレイできなかったのだから、得点の機会も25%少なくなるハンディキャップが生じる。この場合得失点差を考慮する必要があるだろう。補正の検討をする必要はあるだろう。選手の皆さんにとって結果は青春の代償なのだから、公平な判定を期待する。

<トリビア>

今季、クラブチームへの大学・高校からの参加が史上最高ではないかという話をしたが、実はティーンズラクロス界から大学、クラブでラクロスを続ける選手も史上最高ではないかと思われる。

難関校とも言われるところへラクロスをする為に進学するモチベーションが高まっている事はすてきなことだと思っている。

なにより、ラクロスを続けてくれてありがとう。オリンピック目指してください。

立教大学へ一般入試でラクロスを目指して夢を叶えた聖ドミニコ学園出身のお二人。💐👏

<トリビア2>

以下は新制大学リーグ戦開始後の関東ファイナル4進出校一覧

昨年の中央大学で女子はわずか8校。そして決勝進出校はわずか5校。今年は新たな歴史が又刻まれる予感もある。

青枠 優勝校

以上 渡辺パイプ関東学生リーグ戦開幕戦女子の詳細情報でした。なお、もちろんこの試合考察はラクロス応援チャンネル独自の物です。修正点等突っ込んでください。

 

男子は別途。

 

やっぱりラクロスは面白い

こぶ平