昨日に続き、関東学生リーグ女子D1の初戦6試合の振り返り。Bブロック編。
Bブロックの構成
そして先のブログでは
今期の大学ラクロスを占うシリーズ#プロローグ | 鼓舞 平(こぶ平)のラクロス応援チャンネル (ameblo.jp)
https://ameblo.jp/kobhey10/entry-12857547109.html
特にプロローグにおいて
★★ Bブロックは、日本体育大学、中央大学、慶應義塾大学が頭一つ抜け出した感はあるが、その中でそれぞれに弱みを内包していそうで、決まりという事は言えない。
特に、チームのリーダーシップというファクターで結果が変わりそうなブロックではないか?と書いていた。そして個別には昨年のファイナル4進出校について(慶應義塾については得失点差で脱落したので追加した)書いていた。(以下抜粋)
・日本体育大学
今年は、昨年に比べ不安定な戦いが続く。誰もが、点を取れる半面、作戦面というより、攻撃面での絶対的な柱が決まり切っていないので、誰もが行ききれないか、行っても孤立してしまう面が出ているように見える。
・中央大学
ーープレシーズンでは単調になりがちだった1オン1ベースの攻撃にパスを織り込んだファストブレイクの可能性を高めてきている点も評価できる。ただ、最も推進力があった武藤選手を始め攻撃の主力が入れ替わった事への不安は残る。違った意味で2年生ながら得点力を魅せる河瀬選手以外の飯田、長谷川、長峰選手は勿論新しい力の台頭が期待される。
・慶應義塾大学
ーー今季新しいチーム作りの上でのポイントは精神的な強さ、良い意味で他に依存しない独立の力を連携・結集させる雰囲気を持てるか?そういう面を見たい。全日本新人選手権で優勝した若手の突き上げは良い効果を生むはずだ。もう一つのポイントはDFとDFMFの要だと見ている。
というようなことを述べていた。
☆そして結果は
★慶應義塾大学vs青山学院大学
前半3対5と青山学院大学がリードして終わるのだが、青山学院大学のファストブレイクが冴えわたり、5点中3点がファストブレイク。もう1点もファストブレイクからのFSだった。
実は2Qでこの試合のポイントの①つとなるシーンがあった。
2Q12分過ぎの事、それまで、ファストブレイクにインサイドでの得点も加わり2対5と差を広げた青山学院大学。再びファストブレイク。それも完全に抜け出してゴーリーと1対1
ファイクも入れて、ゴール!!かと思いきやポストに嫌われ、慶應義塾が一転ファストブレイク、、、、慶應義塾11番片岡選手がこれを決めて3対5と追い上げたところで2Qが終了した。
ポストの悪戯が無ければ 2対6 、この差は大きかった。しかも3Q頭には、慶應義塾のディレイ・オブ・ザゲームでドロー権を失い、再びの青山学院の攻撃も決められていた。ここで2対7となっていたら、4Qの慶應義塾の攻撃も届かなかった可能性もあった。ここでデータを見よう
慶應義塾は若いチームで、前半5つのミスを犯すなど、想定内とは言え厳しい立ち上がりを強いられた。
そして、3Qも相手のファストブレイクにやられて3対6となった後に、第2のポイントが来る。
ターンオーバー後、今度はポゼッションから攻撃を仕掛けた青山学院の立て続けのショットを止めた慶應義塾ゴーリー1番古川。
ゴールを背にした白右端1番古川選手のセーブ。
そのターンオーバーを、見事にものにし切った慶應義塾88番藤岡選手/3年の慶應義塾へ息を吹き込んだプレイだった。
勢いを取り戻した慶應義塾はドローも取って、エース3番秋山選手/3年のノールック反転ショットがさく裂し5対6と追い上げて4Qへ繋ぐことができた。
4Qになると、慶應義塾のお家芸オールコートプレスディフェンスが発動。青山学院のファストブレイク発動前にボールを奪う、ドローからの攻撃は決めて逆転した。
一方の青山学院のファストブレイクは見事だったが、前からの強いライドでカバーをされた時のスローブレイクになお、進化の余地があるのだろう。プレシーズン後半から上げてきたチーム力は青山学院らしさを身に着けたものだった。
★中央大学vs法政大学 多摩ダービー 12分クォーター試合
昨年初のファイナル4進出を果たした中央大学は到達できなかった全国大会に向けて、どのような進化を遂げたのか?プレシーズンでは、強力な4年生が抜けた穴を埋める策を模索し続けて苦しんだ印象の法政大学との戦いは予想以上に拮抗した試合となった。結果を見ると
中央がキャプテンのブレイクで先制するも、法政の果敢な守備に強さを出す前に詰められ、法政は攻撃権を有効に生かして逆転をした。その中には85番窪田選手のノールックバックアンダーショットの離れ業もあった。しかし、中央は2Qに80番飯田選手の無双1オン1が発動。法政も鋭いカットインを決めた52番田村選手の反撃もあったが、中央がらしさを取り戻し始めた。
データを見ると
ドローを支配した中央大学が、ミスの多い試合を耐え抜き最後に点を取るべき選手が点を取り勝利した図式だ。
法政大学は、プレシーズンに見られたミスの多い試合を、許容範囲にまで持ってきて、点を照るべき選手が点を取ったという面では良かったのだが、ドローを対等にできればさらに良い戦いができるはずだ。
★日本体育大学vs成蹊大学
昨年日本一の日本体育大学については、プレシーズンの試合を見て「今年は、昨年に比べ不安定な戦いが続く。誰もが、点を取れる半面、作戦面というより、攻撃面での絶対的な柱が決まり切っていないので、誰もが行ききれないか、行っても孤立してしまう面が出ているように見える。」と書いたが、結果は
完封こそならなかったが、ポゼッションも70%は確保して新しい力も出現して、決めるべき選手も決める、良い形のラクロスを展開した。データを見ると、
ドローも優位に進め、ミスも抑えてシナリオ通りの勝ちを得たという印象だ。
一方の成蹊大学は、トレーナーも含めたチーム体制の整備ができて2年目。運動能力自体の高い選手は日体大並みか、走力においては日体大を抜き去る選手も居たぐらいだが、ラクロスの理解が浸透していない(というが、チームとしての戦術練習が)、足りないと見えた。攻撃は単発、散発的で崩しの発想が乏しく、個々の突破に依存している。守備にも考え方が見えない印象を受けた。ショットの打ちにくい処へスライドさせても、それきりで持続的な、統一的な守備には至っていない。ゴーリーのセーブ力が高いだけにしっかりとした守備のコンセプト作りと、選手の理解が前提となる。
<こぶ平's Eye>
Bブロックは日本体育大学が、成蹊大学に対して良い勝ち方をしたが、今後楽に攻撃をさせてくれないチームとの戦いになった時も、積極的な攻撃ができるのか、ポイントはその1点だ。
因みに55番寿美選手が4点の活躍、いわば伏兵の台頭と
10番川内選手が3点ダッジ&ロールの1オン1を含めて進化を見せ
7番2年生小野選手も初得点を挙げた。
★慶應義塾大学はスタメン
G1番古川DF90番増田/3、64番大貫、14番松尾MF96番辻田/3、71番三好/3、19番澤田/3AT88番藤岡/3、11番片岡、3番秋山美/3と、若く昨年試合経験の多い選手が3番秋山選手のみというチーム構成で臨まざるを得なかった?というなかで、今の弱点とそれを補う試合中の進化があったという点がポイントだろう。
22番2年安達選手も大学リーグ初得点を挙げた事でまた進化が進みそうであり、U20代表のドロワーの葛西選手/2年が居ない中でのドロー互角の戦いができた点等好材料もあった。今後の進化に期待したいチームだ。
★青山学院大学は22番日本代表2025候補の織田選手/3年を中心に64番南埜選手/3年等の若手が走るファストブレイクは他校の脅威となりそうだ。若手が多いだけに慶應義塾大学同様そのシーズン中の進化に期待ができる。
★中央大学は昨年の強力アタッカー武藤選手等の卒業が不安材料だったが、武藤選手に代わる、飯田選手の自立、長谷川選手や長峰選手/3年、河瀬選手/2年と、取るべき選手が点を取り攻撃の核はしっかりした。さらに5番松平選手/1年(横浜市立東高校)もデビュー戦で攻撃陣を構成し、早速得点を挙げ、昨年1年で活躍した河瀬選手のような働きを示しそうだ。ただ、CTOが少なくセーブも少なかった守備が、今後の試合において昨年のような強さを見せるのかは注視しなければならない。
★法政大学は春の東京6大学時よりも、ミスも減り積極性が得点へと繋がる循環を見せたのは好材料だろう。ただ、ショット機会の少なさは課題で、これが伸びないと得点は期待できない。
★成蹊大学は先にも述べたが、チームとして戦術理解とその実践の反復練習の積み重ねが待たれる。それも速やかにだが、それも又成蹊大学流で進んでいくのかもしれない。
トータルで見ると、日本体育大学が攻撃に進化を見せ、順調なスタートを切った印象が強い。次の日本体育大学 vs 中央大学の一戦は前半の最大の山場となりそうだ。ともに攻撃力に力を見せただけに、ゴーリーを含めた守備力が鍵を握っている。
敗北を喫した3校はそれぞれ次戦が、上位チームとの対戦なるが、そこでの勝利が上昇へのきっかけになるので、数週間での進化をどういうところに求めていくのか明確にして臨むのベターではないか?
次戦
7月28日(土) 8:50 中央大学 - 日本体育大学 中央大学多摩キャンパスラグビー場
8月11日(日) 13:10 成蹊大学 - 慶應義塾大学
慶應義塾大学はU20 日本代表で葛西選手不在
駒沢オリンピック公園総合運動場第一球技場
8月12日(月) 17:50 法政大学 - 日本体育大学
日本体育大学は AT小野DF松田両選手がU20代表で不在
日本体育大学世田谷キャンパスグラウンド
8月18日(日) 16:40 中央大学 - 青山学院大学
アミノバイタルフィールド
まだまだ先は長い。
以上 関東学生リーグ女子D1 Bブロックの初戦振り返りとこれからについてでした。
やっぱりラクロスは面白い。
こぶ平