35歳女性の切開法二重術と目頭切開術の症例です。

 

 

・目の横幅を大きくしたい
・平行型二重にしたい
・目と目が離れているのでバランス良くしたい
このような希望に対して行うのが目頭切開(蒙古ひだのつっぱりを弱める手術)です。


蒙古(もうこ)ひだは、目頭に張っている皮膚(一部眼輪筋も含まれます)で、日本人を含むモンゴロイドの約70~80%にみられる特徴です。
つっぱりの程度は個人差がありますが、目頭側のピンク色の粘膜の部分(涙丘または涙湖といいます)が見られないこともあり、目と目が離れて間延びした感じがします。


効果の大きいW型切開(小川法)等は皮膚を切り取る為、傷が大きくなる傾向があるほか、万一気に入らない場合にも完全には元に戻せないデメリットがあります。
そこまでの大きな変化を望んでいない場合、当院ではZ形成術による目頭切開を多く行っています。
これは蒙古ひだの皮膚を切り取るのではなく2枚の三角弁を立体的にずらして入れ替える方法で、切開線が短くて済み、傷にかかる張力も弱いため傷跡が目立たず、自然な仕上がりとなるのが特徴です。

 

 

 

 



この患者さんは涙丘が完全に隠れてはいなく蒙古ひだはそれほど強いわけではありませんでしたが、目頭切開により内眼角距離(目と目の間の距離)が約2.5mm短くなり大人びた印象の目元になっているのが分かるかと思います。
また切開法による二重形成でくっきりした平行型の二重が出来ています。
二重の切開線および目頭の切開線の傷跡も目立たず、大きな左右差もなく良い結果が得られているか思います。

 

 

55歳女性の裏ハムラ法手術症例です。
下眼瞼は加齢により眼窩隔膜(眼窩脂肪を包んでいる線維性の組織)が弛緩してきて眼窩脂肪の突出をきたし、これがいわゆる目袋の膨らみとなります。
また膨らみの尾側(下方)では鼻瞼溝や瞼頬溝といった窪みが目立ってきて、こちらが下まぶたのクマの原因になります。


ハムラ法というのはこの突出した眼窩脂肪を窪みの位置に移動(再配置)する概念で、この操作を瞼の裏側から行う術式が裏ハムラ法になります。
皮膚側から操作しないので見た目の傷が残らずダウンタイムが短くて済む優れた方法なのですが、欠点もあります。
それは膨らんだ目袋を平らに整地しなおすわけですから、若干の皮膚のだぶつきが生じる可能性があるということです。
 

極端なたるみが生じることはまずありませんが、細かなしわが増加することはあり得ます。
過去の投稿でも若干小じわが増えたと思われる症例やほとんど増加の認められなかった症例を紹介してきましたが、今回は逆にしわが軽減したと感じられる症例を紹介します。

 

 

 
 
 
 

術前の拡大写真を見ると目頭の蒙古ひだから続く下斜め方向に延びるしわをはじめ、その周辺に数本の線状のしわが認められますが、術後の拡大写真ではそれが明らかに減っています(無くなっていると言ってもいいレベルです)。
私自身このような事例は初めてで、なぜしわが改善したのかはっきりした原因は分かりません。(それが分かればしわの改善もできる画期的な裏ハムラ法の開発につながるのですが、、、)
可能性としては眼窩脂肪が再配置されたことにより、皮膚が引っ張られる方向が微妙に変わり線状のしわが目立たなくなったのではないかとか、局所に集中していた皮膚のだぶつきがまんべんなく周辺に拡大したためしわが目立たなくなったなどが考えられますが本当のところは不明です。

 

 

 


この患者さんは術後の腫れや皮下出血もそれなりに出てしまい、ある程度落ち着くのに約1ヶ月かかりましたが最終的には前述のようにしわもなくなったほぼフラットな形態が得られました。

 

 

 


 

32歳女性の埋没法による重瞼術の症例です。
 
 
埋没法による二重の手術はそのお手軽さから最も広く普及している美容整形手術の一つです。
メスを使わないのでほとんど傷跡が残らないこと、腫れが少なくダウンタイムの短いことがメリットです。
 
一方で埋没法は切開法に比べて二重の固定力に劣り、時間の経過とともに二重のラインが薄れたり場合によっては消失してしまうことがあるのがデメリットです。
 
当院ではこの欠点をできるだけ少なくした連続式埋没法(クロスリンク法およびスーパークロスリンク法)も行っております。
クロスリンク法は2本の糸をチェーンのようにつなげて皮下に埋没する方法で2本の糸を別々に皮下に埋める従来の方法(当院ではベーシック2点法と呼んでいます)に比べて取れにくいラインを作れるのが特徴です。
スーパークロスリンク法は3本の糸をチェーンのようにつなげて皮下に埋没する方法でクロスリンク法に比べて目頭から目尻までより長くクッキリとした取れにくいラインが作れるのが特徴です。
ともに当院の院長が前職である大塚美容形成外科在職中に考案した術式です。
 
取れにくい方法というと腫れも大きいのかと思われるかもしれませんが、目立つ腫れは1週間ほどで落ち着き1ヶ月後には希望通りの幅に完成しますので通常の埋没法と腫れ方はそれほど変わりません。
 
  

 
この患者さんは腫れと皮下出血が比較的強めに出てしまい術後2週間目でもまだ二重の幅も広く皮下出血も完全には治まってはいませんでした。
1ヶ月後には、ほんのわずかに左の二重が右より広い感じもしますが、ほぼ希望の幅に落ち着きました。
 
 
 

61歳女性の裏ハムラ法手術症例です。

 

 
 
 

下眼瞼は加齢により眼窩隔膜(眼窩脂肪を包んでいる線維性の組織)が弛緩してきて眼窩脂肪の突出をきたし、これがいわゆる目袋の膨らみとなります。
また膨らみの尾側(下方)では鼻瞼溝や瞼頬溝といった窪みが目立ってきて、こちらが下まぶたのクマの原因になります。
ハムラ法というのはこの突出した眼窩脂肪を窪みの位置に移動(再配置)する概念で、この操作を瞼の裏側から行う術式が裏ハムラ法になります。


皮膚側から操作しないのでダウンタイムが短くて済む優れた方法なのですが、欠点もあります。
それは膨らんだ目袋を平らに整地しなおすわけですから、若干の皮膚のだぶつきが生じる可能性があるということです。
膨らんだ紙風船の空気を抜くとしわしわになることを想像してみるとわかりやすいと思います。
もちろん皮膚にはある程度の伸縮性があるので紙風船のようにしわくちゃになることはないですが、小じわが若干増える可能性はあります。
 

小じわが増えやすい症例としては
①目袋の膨らみがかなり大きく、眼窩脂肪の移動だけでなく一部の眼窩脂肪の摘出を伴う様な症例
②すでに皮膚のたるみやしわがある症例
③40~50才代以降の症例(皮膚の伸縮性の低下が原因?)
などが考えられますので、これに当てはまる場合には術前に十分説明させていただいています。


 

 

 

 

 

このモニター様の場合は目袋の膨らみもそれほど強くはなく眼窩脂肪の摘出は行わず脂肪の移動のみを行ったこともあり、写真を拡大してみてもほとんど小じわの増加は認められないように感じます。
また術後の腫れや皮下出血も極軽度で10日後の検診ではほぼ完成の状態に近いのが見て取れるかと思います。

 

 

 


 

30歳女性の全切開法による二重術です。
切開法の重瞼術の長所は埋没法よりくっきり、パッチリした二重が作れること、そしてそれがほとんどの場合一生維持できることです。
その半面、術後の腫れが大きく一応の出来上がりは約3ヶ月後といったところでしょうか。
一般の人が心配されることの多い傷跡ですが、形成外科出身のベテラン美容外科医が丁寧に手術すればそれほど目立ちません。
 
 
 
 
このモニター患者さんは術前のシミュレーションで化粧映えのする広めのいわゆる平行型二重を希望されました。
この広さの二重を埋没法で作るとなるとやはり相当無理が生じ戻りやすくなると思われます。
 
 
 
広めの二重を全切開法で作ると一般的には相当腫れが長引くのですがこの患者さんの場合、2週間後には早くも落ち着きかけており1ヶ月後にはほぼ希望通りの幅の化粧映えのする平行型二重に完成しているのが見て取れるかと思います。

37歳女性の裏ハムラ法手術症例です。

 

 
 
 

裏ハムラ法は瞼の裏側から手術を行うため皮下出血や術後の腫れが少なくダウンタイムが比較的短くて済む非常に優れた方法です。
通常は1週間くらい皮下出血やむくみが出ますと説明して手術に臨みます。
70~80%くらいの症例で1週間後には手術した跡はほとんど目立たなくなりますが、残りの人はもう少し時間がかかることがあります。
この患者さんの場合、3日後に圧迫していたテープをはがした際に左目に結膜浮腫と軽度の眼球結膜下出血を認めました。


 

 

 

 

眼球結膜下出血は以前の記事でも述べた様に瞼の裏側の切開部での出血が円蓋部結膜を越えて眼球結膜下に浸潤するために起こり白目が赤く染まるものです。
本症例では眼球結膜下出血は極軽度だったため比較的早期に退色しました。

結膜浮腫は白目を覆っている眼球結膜の下に水分が貯留し白目の表面にゼリーが付着したようにブヨブヨになる症状のことです。
一般的には目をこすり過ぎたなどの物理的刺激によるものの他、最も多いのは花粉やハウスダストなどに対するアレルギー反応により結膜下に浸出液が貯留するといわれています。
裏ハムラなどの瞼の裏から行う手術の際にも比較的多くみられる症状で、瞼の裏に注射した局所麻酔の液体あるいは手術の侵襲に対する浸出液が円蓋部結膜を越えて眼球結膜下に浸潤するために起こると考えられています。
重度の結膜浮腫に対しては結膜を切開し排液を促す処置を行うこともあるらしいのですが私はそこまで重症の経験はありません。
当院ではステロイドの点眼を処方し結膜浮腫の早期治癒を図っています。
 

この患者さんの場合、結膜浮腫や下瞼のむくみが比較的長く続きました。
術後10日目でも左目の結膜浮腫と腫れがまだ残っています。
術後1ヶ月の検診時にはようやく落ち着いてきたのが見て取れるかと思います。

 

 

 



 

16歳女性の全切開法による二重術です。

切開法の重瞼術の長所は埋没法よりくっきりした二重が作れること、そしてそれがほとんどの場合一生維持できることです。
その半面、術後の腫れが大きく一応の出来上がりは約3ヶ月後といったところでしょうか。
一般の人が心配されることの多い傷跡ですが、形成外科出身のベテラン美容外科医が丁寧に手術すればそれほど目立ちません。
きれいで目立たない傷跡で仕上げるポイントは皮膚や皮下組織を取り過ぎないこと、丁寧な縫合を心がけることのほかに創縁をピンセットで強くつまんだりせず愛護的な操作を心がけることでしょうか。
愛護的な操作を心がけるというのは、われわれ形成外科医が研修医の頃から徹底的に教え込まれる基本的方針のひとつで形成外科的縫合法の根幹をなす技術です。

 

 

 


このモニター患者さんは術前のシミュレーションでいわゆるmix型ないし狭めの平行型二重を希望されました。
mix型二重とは末広型二重(目頭側には二重のラインがなく途中から現れ目尻に向かって徐々に幅広になっていく二重の形)と平行型二重(目頭側にも二重のラインがあり、あまり二重の幅が変わらず目尻につながっていく二重の形)のちょうど中間的な形の二重のことで、目頭側の非常に狭い幅の二重からスタートし徐々に幅を増して目尻に向かっていく二重の形のことを言います。
最近この形の二重を希望される患者さんが増えているように感じます。
控え目過ぎず派手過ぎず、ちょうどいい感じといったところが人気なのだと思います。
 

本症例では、術前の写真では皮膚がかぶってきて本当の瞼縁が見えてないためわかりづらいですが右側の瞼の開きが若干悪く術中の判断で眼瞼挙筋の前転も併せて行いました。
術後3ヶ月目でようやく希望のmix型ないし狭めの平行型二重に落ち着き、右の瞼の開きも改善しているのが分かるかと思います。

 

 

41歳女性の裏ハムラ法手術症例です。
裏ハムラ法は下瞼の裏側から目袋の膨らみの原因である突出した眼窩脂肪をその尾側の窪みの位置に移動(再配置)する方法です。
皮膚側から操作しないのでダウンタイムが短くて済む優れた方法です。

 

 
 
 

当院では血腫(術後に再出血しその血液が創部の中に溜まって固まってしまう合併症)予防目的に2日間ほど下瞼にテープによる圧迫固定を行っているのですが、この患者さんの場合テープをはがした際には術後2日目にもかかわらず皮下出血や腫れは目立っていませんでした。
わずかに左下瞼に皮下出血が認められますが、テープが外れればお化粧が出来ますのでこれくらいであればコンシーラーなどのメークでごまかして翌日から人に会っても手術したことがばれないのではと思うくらいでした。

 

 

 


もちろんむくみのような腫れはありますので一般的には形の完成は1~2カ月先といったところですが、この方の場合腫れが引くのも早く術後10日目にはすでに完成に近いのが見てとれるかと思います。

 

 

 


 

58歳女性の上瞼形成術の症例です。
瞼の開きが悪い(特に右側)ことと上瞼の皮膚がたるんで二重が見えにくくなっていることを気にされての来院でした。


一見すると眼瞼下垂の修正は右側だけでいいように思われるかもしれませんが、挙筋の前転を片方だけに行った場合、もう片方の瞼の開きが悪化してしまうことがあります。
これをへリングの法則と言い、下垂が片方のみに存在していても通常は両側の瞼を一生懸命開こうとするシグナルが出ているのですが、片方の下垂を手術で治すとそのシグナルが消え、その結果、手術していない側の瞼の開きが悪くなるのです。
全例にこのようなことが起こるわけではないですが、反対の瞼に下垂の兆候が少しでも認められればへリングの法則が現れてしまうことが多く両側とも挙筋の前転を行った方が無難です。

 

 

この症例では右側は約4mm、左側は約2mmの挙筋の前転を行いました。
挙筋の前転を行うと二重幅は自然に狭くなってしまいますので、それに応じて余剰皮膚の切除を行う必要がありますが、皮膚の切除を行うと一般的には少し腫れぼったい重瞼になってしまいます。
元々腫れぼったい瞼の方が二重を広げたい場合には重瞼ラインでの皮膚切除ではなく眉毛下での皮膚切除が向いているのはこれが理由です。

この症例ではなるべく腫れぼったさが目立たないように余剰皮膚の切除量を少なめ(両側とも約3mm幅にて切除)にし控えめな重瞼幅にとどめています。
あと写真ではわかりづらいですが目頭側の膨らみを気にされていましたので少量脱脂も行いました。
 

 

術後は目立った左右差もなく自然な形態が得られているかと思います。
なお下瞼には裏ハムラ法を行っていますので、こちらの膨らみも改善しているのが見てとれるかと思います。

 

 

 

 


 

45歳女性の裏ハムラ法手術症例です。
裏ハムラ法は下瞼の裏側から目袋の膨らみの原因である突出した眼窩脂肪をその尾側の窪みの位置に移動(再配置)する方法です。

皮膚側から操作しないのでダウンタイムが短くて済む優れた方法です。

 

 

 

 

当院では血腫(術後に再出血しその血液が創部の中に溜まって固まってしまう合併症)予防目的に2日間ほど下瞼にテープによる圧迫固定を行っているのですが、この患者さんの場合テープをはがした際には術後2日目にもかかわらず皮下出血や腫れは目立っていませんでした。

 

 

 

 

わずかに左下瞼に皮下出血が認められますが、テープが外れればお化粧が出来ますのでこれくらいであればコンシーラーなどのメークでごまかして翌日から人に会っても手術したことがばれないのではと思うくらいでした。

もちろんむくみのような腫れはありますので一般的には形の完成は1~2カ月先といったところですが、この方の場合腫れが引くのも早く術後10日目にはすでに完成に近いのが見てとれるかと思います。