②地域コミュニティ交通の要求に
○市街地の山麓に開発された団地で道路が狭く路線バスが入れない地域や、神鉄沿線や市営地下鉄沿線などで駅から離れてつくられた団地、農村部の路線バスのない地域などで、コミュニティ交通の要求が高まり、住吉台くるくるバス、森北どんぐりバスなどができ、塩屋でも走り始めようとしている。
近隣市でも、明石の「たこバス」、三木のミッキーバス、小野のらんらんバスなどが走っている。明石のtacoバスは、年間利用者が100万人を超え、2014年9月
○神戸市はコミュニティバスの要求に、日本共産党市議団の予算要望への回答で「バス路線は基本的に採算が成り立つ需要があることが前提となり、運行するかどうかは事業者の判断にゆだねられている」「バス路線開設のためには、地域の交通問題に対する住民の主体的な取り組みが必要」と回答して、神戸市の責任については区役所などが実情に応じて「支援」するとしている。
○近年の公共交通の危機のなかで、採算が成り立つ需要とか、運行の判断は事業者、住民の主体的取り組みが必要などと言う立場をとらない自治体が増えている。採算が成り立たなくても、住民が必要とする公共交通は社会全体で維持していくというのが当然必要とされている。――公共交通は「正便益、不採算」(中川大京大助教授)
神戸市の態度は、「必要な公共交通を民間まかせにしているのは日本だけ」(両備グループ小嶋光信代表)と批判されている立場である。
○神戸市は「住吉台くるくるバス」をあげているが、この中心になった方は区役所や神戸市に何回も要求しても聞いてくれなかったので苦労して作ったと「コミュニティ交通のつくり方」という本の中で書いておられる。この例を市があげるのはおかしいのではないか。
住吉台くるくるバスは、地域の住民による「住吉台くるくるバスを守る会」が2005年につくられており、住民のなかからコミュニティ交通を守ろうという気運が続いているとのことである。せっかくコミュニティ交通を実現しても、便利で使い勝手の良いマイカー利用が中心になり、コミュニティ交通に「空気を運んでいる」との批判が集まり、中止に追い込まれるケースもあるとのことであり、ここでも住民の公共交通への意識を高め、愛着を持ってもらえることが事業の成功に直結するのではないかと考える。
参考事項――神戸市の2015年度予算編成にあたっての日本共産党市会議員団の要望書から、関係項目を抜粋
『兵庫区、長田区内の市場・病院・官公庁・鉄道駅などを循環する循環コミュニティーバスを創設すること』
【回答】(住宅都市局、交通局) 人口の高齢化や坂が多い等の理由により、地域に密着したバス路線開設の要望が出されているが、バス路線は基本的に採算の成り立つ需要があることが前提となり、運行するかどうかは事業者の判断に委ねられている。そのため、バス路線開設のためには、地域の交通問題に関する住民の主体的な取り組みが必要であると考えている。
例えば、平成16年から東灘区の住民が、JR住吉駅から住吉台地区を結ぶ地域密着型のバス路線の開設に熱心に取り組み、その成果として、平成17年1月から民間バス事業者による「住吉台くるくるバス」が運行を開始している。路線開設にあたっては、本市としても区役所を中心に側面的支援を行った。バス開通後も「住吉台くるくるバスを守る会」を結成し、定期的な会合の開催や通信の発行など路線維持に向けた熱心な取り組みを続けており、現在では採算が取れる利用がなされていると聞いている。
(参考)平成25年度 6系統営業係数:211 収支差:△22,788(千円)