①「交通権」、すべての市民の移動権を保障する立場が出来ていない。
■交通権、移動支援の考え方について
○地方鉄道や生活路線の路線バスなどが、モータリーゼーションや、少子高齢化などの社会情勢の変化により、「採算」が成り立たなくなることや、2000年頃に「規制緩和」により、届け出れば事業を廃止できるようになったことなどから、廃線が相次ぐ危機をむかえて大きな社会問題となり、フランスなどの「交通権」を日本でも実現しようという声が強まりました。これは、2013年12月4日「交通政策基本法」として交付され、交通に関する施策について、基本理念及び交通に関する施策の基本となる事項を定め、国や地方公共団体の責務等を明らかにし、交通の総合的計画的推進、国民生活の安定向上、国民経済の健全な発展を図るとの目的を定めているが、①国民の「交通権」の明記がない。②地方自治体の権限を認めていない。③安全面の確保をはかろうとしていないことなど不十分な点が指摘され、逆に「国際競争力の強化」「国際交通ネットワークや港湾・空港等の強化」が持ち込まれた弱点がある。
富山市では、これらの施策を市長を先頭に徹底的に市民に説明する態度を貫いた。結果としてこの公共交通政策は「市民の納得を得て行われた」と富山市長は言明している。
西区の「粟生線の会」で富山に行った時も、たびたび富山の市民の会が提言を行い、それを取り入れて、運行本数を増やしたりしたことで、富山ライトレールの事業の成功につながったとの評価をお聞きした。
市民と対話をしっかりと行い、納得を得て事業を進めることこそ一番大事なことであると考えられる。
○神戸市の交通権については、日本共産党市議団の2015年度予算要望で、「市民の交通権を明記した交通基本条例制定でコミュニティバス新設、敬老パスの対象拡大」などを要求したのに対し、神戸市の回答は交通権については触れず、「神戸市総合交通計画」で公共交通中心の交通ネットワークの維持、推進をあげているにとどまって、市民の交通権や、移動を支えることは触れていない。
○神戸市でも交通権を認め、すべての市民の移動の権利を認め、市や交通事業者の責務を明確に、市民全体で公共交通の充実に努めることを条例でもしっかりと定めることが求められる。
参考事項――神戸市の2015年度予算編成にあたっての日本共産党市会議員団の要望書から、関係項目を抜粋
企画調整局への日本共産党神戸市会議員団の要望
『神戸市の総合交通体系を考えるための交通政策課を新設し、市民の交通権を明記した交通基本条例の制定やコミュニティバスの新設、敬老パスの対象拡大について検討すること。その際、まちづくりや地域の活性化、福祉対策なども含めて検討すること』
【回答】 (住宅都市局)
本市では、人口減少・超高齢化の進行や、地球環境問題など社会的潮流を踏まえ、すべての人にやさしく暮らしやすいまち、持続可能なさらに魅力・活力あるまちを実現するため、公共交通を中心に歩行者、自転車、自動車などがバランス良く組み合わされた、安全で快適な交通環境の形成をめざして、平成25年9月に「神戸市総合交通計画」を策定した。
神戸市総合交通計画では;鉄道を基幹としてパスや多様な交通手段で形成される公共交通中心の交通ネットワークの維持・充実を図っていくこととしており、国や県とも協力しつつ、公共交通体系の整備に係る総合調整を行っている。
平成25年度までは、企画調整局と都市計画総局それぞれに交通政策の部門があったが、平成26年度より住宅都市局で交通部門を統合し、神戸市の総合交通体系を検討している。
具体的な取組として、西北神地域では公共交通ネットワークを維持し、利便性の向上を図るための鉄道事業者への支援、生活交通バス路線維持のための補助を行っている。
また、地域が主体となって取り組む新たな輸送手段の導入に対し、地域の実情に応じた支援を行っている。
今後とも、公共交通事業者やその他の関係機関との連携を図りながら、公共交通体系にかかる総合調整を進めていきたい。
本市の厳しい財政状況の下において、市、交通事業者、利用者で支えあいながら、長期的に現制度を維持・継続できるよう努めていきたい。
<平成27年度予算・単位千円> 北神急行電鉄支援事業 135,000 神戸電鉄活性化支援事業 197,300 路線バス支援 40,400 過疎地有償運送等支援事業 1,250 田園地域における地域住民による自主運行バス等への支援事業 9,100 総合交通計画の推進 16,866