今年は個人的に「発明元年」と決めている。

 

私にとっては発明≒「企画」だったりするけれど、

発明ってなんだろうと考えていた時に、

「君の名は」のプロデューサーとしても有名な川村元気さんと、とある会でお逢いする機会があって、こんな話を聞いた。

 

「いつも通りかかる四ッ谷駅のポストの上に、ぬいぐるみが一つ置いてあったんですけど、

 そこを通りかかる人たちは、ほぼみんなそのぬいぐるみを認知しているはずなのに、誰も何も言わない。

 

 その時、僕の仕事ってこれだなって分かったんです。

 

 このぬいぐるみをみんな認知しているけど、それは暗黙の了解でだれもそれを取り上げる人はいない。

 僕の仕事は、そのぬいぐるみを持って『これ誰のですか?』ってみんなに問うことなのだと。

 

 こういうことを谷川俊太郎さんが“集合的無意識”と呼んでいたので、僕もそう呼んでいるんですが、

 みんなが潜在的に欲しいと思っているけれど形になっていないものにアプローチして、それを表現していくのが僕の仕事なんだと思うんですよね。」

 

うる覚えだけど、こんな感じの話だった。

 

 

企画や発明の醍醐味というのは、

みんなが暗黙の了解として、うすうす気づいているのに、

まだ誰もそれを取り上げて声をあげていないもの、価値として明確に提供されていないもの(=集合的無意識)、

そこに気づいて企画としてなんらかの形として落とし込んだ時に、大きなブレークスルーが起きる。

 

その一瞬のひらめきと、産みの苦しみと、

ただの暗黙の了解として漂っていたようなものが、みんなの共感を生むようなものに形を変える。

そのパラダイムシフトが企画の醍醐味。