秋分の日も過ぎて、秋と言えばやっぱり読書の秋。

女性たちの「自由」「豊かさ」「幸せ」について、
約10年考え続ける中で、私自身が大きな影響を受けた尊敬している女性たちがいます。

最近はまた改めて初心に戻ろうと、
<未来において、女性たちの幸せのためにどういうことができるのか>、
その思想を深めたくなり、尊敬する6人の女性たちの本をもう一度読み返しています。

6名ともたくさんの著書を残されているのですが、比較的に読みやすい6冊をピックアップしてご紹介します。




女性活躍や女性支援に関わる活動や事業をされている方にとって、
そして、自分らしく自由に幸せに生きていきたいと願う女性たちにとって、
少しでもお役に立てればと思いますので、参考にして頂ければ幸いです(^_^)


1. シモーヌ・ド・ボーヴォワール(Simone de Beauvoir)

<第二の性(1949)>



女性の生き方に大きな変化をもたらせた「女性解放運動」に大きな影響を与えた本。
20年後には「第二の性」の英語版が100万部を超える大ベストセラーになり、アメリカの女性解放運動のベティ・フリーダン氏、ケイト・ミレット氏にも大きな影響を与えたといわれている。

男性によってつくられた女性神話を否定し、女性を実存主義的視点からとらえなおすことを主張した本。
そう聞くと難しそうに聞こえるが、
「女性」を文化人類学、心理学、哲学、神話学、文学といった様々な角度から分析し、女性の置かれている立場を明快に解説していて大変勉強になる。

「女性」を考えるために、人間生活だけでなく、植物の雄花・雌花や、虫の雄雌などとも比較していて、本質的な「女性性」とは何かを考えさせられる。

ボーヴォワールは、生涯を通じて公私ともに影響を与えることになるサルトルのパートナーでもある。
"人は女に生まれない。女になるのだ"という言葉はあまりにも有名。

個人的には、この言葉が最も気に入っている。

"豊かな個人生活こそ、女性がよき親・よき配偶者となる必須条件である。"

女性が良き母、良き妻であるためには、女性自身が個人として豊かな個人生活を送れる必要がある。

「第二の性」がその後のフェミニズムやジェンダー論に与えた影響は大きく、古典からきちんと学ぶには最適な本。


2. 岡本敏子さん

言わずと知れた日本の芸術家「岡本太郎」のパートナーである、岡本敏子さん。
お二人が夫婦だと誤解している方も多いのですが、二人は結婚はしておらず、敏子さんは後に太郎さんの養女になる。

私が岡本敏子さんの存在を知ったのは、大学生の時。
どういうきっかけだったが、岡本太郎さんと敏子さんの名言をまるで二人が会話しているかのようにまとめた本「愛する言葉」に出逢い、その精神的な強さ、愛情深さ、女性性や母性性に衝撃を受けて、それ以来この本は大切にしている。



後に、岡本敏子さんも私の母校であり、東京女子大の卒業生だったことを知り、より興味を持つように。

この「愛する言葉」の中に記されている言葉には、いつ出逢っても勇気をもらえる。

"お互いに相手を引き出すの。自分だけでは「自分」になれないもの。”

"男と女は支えあって生きるのだ。ほんとうにそう言いきれる、パートナーを持ちえた人は、人生の勝者です。何でも出来るの。”

"一人の女がこれだけ心の底から尊敬し、慕い、全存在を賭けているということは、男を力づけないはずはない。私は秘書として有能でもなく、芸術家でもなく、いい女でもなかったが、あらゆる瞬間に自分のありったけのものを注いだということは胸を張って言える。出し惜しみはしなかった。”

"みんな、生まれたときは芸術家なんですよ。人間同士としての誠実さの中で、すくすくと育った子供たちは、人生においても、恋愛においても、芸術家のままでいられるのよ。"





3.オノ・ヨーコさん
アーティストとしてもあまりにも有名で、ビートルズのジョン・レノン氏と出逢い、数々の共作を生み出しながら世界に平和を唱え続けて来たオノ・ヨーコさん。


おすすめの本は、「今、あなたに知ってもらいたいこと」


有名な「グレープフルーツ・ジュース」ももちろんオススメなのですが、こちらの本はもっと読みやすい。

オノ・ヨーコさんの言葉から学べることも多く、現代を生きる女性たちが「自信」を持つために役立つヒントもたくさん得ることができると思います。

コンプレックスに押しつぶされそうな時。
自分にどうしても自信が持てない時。
誰かと比較して、羨ましくて仕方がない時。

心に響く、オノ・ヨーコさんの言葉。

”自分を愛することは一番難しいんです。
誰でもどんなに鏡を見たって、
自分が理想とする基準より悪いんだから(笑)

だけど、そこで、『自分はこれだけ与えられただけでありがたい』と考えるの。

だって、爆弾で顔が半分なくなってしまった人も
世界にはいるんですよ。

だから、自分がもらったものを利用してやっていこうと。

そして、それは神様からってことじゃなく、
あなたの母親がくれたもの!

やっぱり『お母さん、どうもありがとう』なのね”




4.瀬戸内寂聴さん

"生きている限り、わたくしたちには幸せになる権利があります。
人間は幸せになるために、この世に生まれてきたのです”


というまえがきから始まる「生きることば あなたへ」



瀬戸内寂聴さんの言葉を集めた、詩集のような本で、言葉は短いのですがとても深く心に響きます。

若い世代の方には、寂聴さんと言えば尼さんのイメージが強いかと思いますが、作家としても多くの文学賞を受賞し、歌舞伎、能、狂言、オベラの台本も手がけるなど、非常に多彩。
2006年には文化勲章も受賞されています。

この本の中に記されている言葉も、どの言葉もとっても学びが深いのですが、幸福に関する言葉を一つだけ。

”幸福になるためには、人から愛されるのがいちばんの近道です。
そのためにはまず、自分が自分を愛さないといけません。
よくがんばっているなと、自分をほめる。そして自分が幸せな気分になるのです。

自分が自分を愛して幸せになったら、そのあなたを見て、必ず人が近づいてきます。
するとその人も幸せになり、自分ももっと幸せになる。

幸せとは、循環なのです。"



まったく余談なのですが、実は瀬戸内寂聴さんも東京女子大学出身。
東女のOGだからと興味を持ったわけではないのに、共感して尊敬している女性が、偶然2人も東京女子大学卒業というのは、何か東女イズムがあるのでしょうか(^_^)


5 佐藤初女さん
日本の福祉活動家、教育者で、青森県で「森のイスキア」と称する悩みや問題を抱え込んだ人たちを受け入れ、痛みを分かち合う癒しの施設を主宰されている佐藤初女さん。
日本のマザーテレサとも呼ばれています。

初女さんの新書が「限りなく透明に凜として生きる」



初女さんの『人を元気にしてくれるおにぎり』がとても有名で、東京からも著名人や有名人がおにぎりの仕方を教わりにいくのだそう。

「おむすびを作るときは、お米の一粒一粒が息ができるようにと思って握ります」


食べ物一つひとつを「もの」として扱うのではなく「いのち」として扱う。

「食材を、ただ『もの』だと思うのと『いのち』として捉えるのでは、調理の仕方が変わってくるんです。ものだと思えば、ただ煮ればいい、焼けばいいって感じですが、いのちだと思えば、これはどうすれば生かせるだろうか、ということになるんです」

そして、初女さんは食材を茹でている場合、切り上げ時の一瞬も「いのちの移し替えの瞬間」として捉え、その瞬間を捉えて作ったご飯というのはとても美味しいものになるのだそう。

初女さんからは、食べること、生きること、豊かさと幸せについて、様々なことを学ぶことができます。
そして、心を柔らかくほぐし、私たちの中の女性・母性を思い出させてくれます。



6 節子・クロソフスカ・ド・ローラさん
画家「バルテュス」のパートナーで、20歳で結婚してイタリア、そしてスイスに移り住み、現在はスイス・アルプスのグラン・シャレにお住まいの節子さん。

節子さんはバルテュス氏のそばで毎日和服で過ごし、現在でも一年のほとんどを和服で過ごされています。

古いものを大切にし、和、洋それぞれの良き伝統を上手に取り入れ、一つ一つのものや家族や友人に対しても心を尽くした暮らしは、多くの日本女性の憧れでもあります。
この節子さんの美意識や、グランシャレでの暮らし、日本の文化への想いなどを感じることができるのが、著書「見る美 聞く美 思う美」



画家、随筆家としても活躍し、バルテュス財団の名誉会長やユネスコ平和芸術家など、幅広い社会活動もされています。

9月25日~10月5日まで、松屋銀座8階イベントスクエアにて、
「ド・ローラ・節子の暮らし展」も開催されています!
https://www.nhk-p.co.jp/event/detail.php?id=515


一度はお逢いしてみたい尊敬する女性たち。
この6人の素晴らしい女性について書き始めると、止まらなくなってしまうので、この辺りで。

読書の秋にぜひ読んでみて下さいね(^_^)