マイナンバーカードの行方 | こばやし歯科医院 web分院

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東京中野の駅前にあるこばやし歯科医院のBLOGです。
歯医者に関すること、庭で咲いた花のこと、鬘の話etc.etc.
役に立たない話が多いですが、気楽にお読みくださいm(_ _)m。

新型コロナウィルスの助成金の関係で、マイナンバーカードが一挙に普及しました。
勿論、まだ入手していない方も多いでしょう。ですが、以前よりも所有者が増えたことは間違いありません。



政府としては、IDカードとして用い、各種行政サービスで使用したいようです。
省を跨ぐ事象を管理する際に、国民個人が特定できる番号があれば色々と融通が利くのは想像に難くありません。少なくとも同姓同名の方を間違えることはなくなります。管理の上で作業の効率化が上がることは間違いないでしょう。



これは別に今に始まったことではありません。現にアメリカでは社会保障番号という形で、各種行政サービスに使用されています。



というより、学校でも出席番号があるのに、国民を管理するのにそういう番号がないのは、おかしいです(^^;。



戦前の行き過ぎた反省のため、戦前、戦中の国家動員体制を類推させるものは、過剰反応する方が、大勢います。実際、国民総背番号を導入しようとして、マイナンバーカードが導入されるまで数十年の時間がかかっています。



……今、振り返ってみると、反対していた人たちは、明らかにおかしいです(^^;。



話がずれました(^^;。



ともあれ、マイナンバーカードの利用法として、マイナンバーカードで健康保険証の機能を持たせようというものがあります。



マイナンバーカードはICチップが付いています。各種個人情報がつまっています。
顔認証なんかもできます。無駄に高機能だと思います(^^;。



健康保険証にICチップを載せると別系統の管理体制が必要になります。サーバーを建てて、回線を用意して、国民全員に配るとなると、何百億、何千億というお金が必要になります。
それならば、IDカードとして用いるマイナンバーカードの機能を持ちいた方が安上がりで合理的です。上手く行けば、他の資格にも対応できるでしょう。



現状、健康保険証は病院や診療所の受付で見せるだけで、トラブルの元になっています。
以前は健康保険証のコピーを取っていたのですが、昨今は個人情報の管理が厳しく、控えるように指導されています。だから、健康保険証の番号を間違えても、生年月日を間違えても、もう一度保険証を見せてもらう以外に、確認する方法がありません。



それなので、病院や診療所に顔認証機能が付いたマイナンバーカードの端末とパソコンを用意するという話になりました。政府はこれを普及させるために、補助金まで出して来ました。今年の3月までに申請すれば、顔認証システムのシステム一式をタダでくれるという話でした。大変いい話です。



ですが、問題があります。



今現在、診療所レベルで顔認証システムが機能していないからです(^^;。



冷静に考えると、IDカードと顔認証システムで、個人を識別するのは、大変高度なシステムです。それこそ、VIPのセキリティシステムとか、銀行とか、税関などで用いられるものです。当然高度なワークステーションと専用回線を用いたものです。勿論、高額な代物です。



それとほぼ同等の機能を、専用回線でなくインターネット経由で、専用OSの入ったワークステーションでなく普通のパソコンで、おそらく数十分の一の予算で仕上げようとするわけです。



……無理ですね(^^;。



仕様書を見て、現場の人間が上げている悲鳴が聞こえようです(^^;。



普通に運用しようと思えいっぱいでるでしょう。というか、出ないわけがありません。



仮にクリアーしても、使うのはコンピュータから一番遠い職種の一つである医療関係者です。



戦前の日本陸軍の兵器開発の基準に『武人の蛮用に耐えること』という項目がありました。
戦争というのは、当然荒っぽいです。戦場で冷静な行動をとれる人は少数派でしょう。
それなので、兵器は乱暴に扱われます。その乱暴な扱いに壊れないようにしなければいけないわけです。



何が言いたいかというと、高度な教育を受けた人が用いる高度なシステムを、一般人が安いシステムでやるとなると、一杯トラブルが起きることは間違いありません。
ましてや、医療関係者って、基本的にコンピュータ音痴の巣窟です。
町医者レベルになると、スマホを満足に使えない人も珍しくありません。



……正直、近づきたくありません(^^;。



そして、当然のことながら、マイナンバーカードに保険証の役割を持たす試みは上手くいっていません。元々ハードルが高かった上に、去年から新型コロナウィルスの騒動で厚生労働省のお役人は手一杯で、こちらに避けるリソースが足りていないようです。このため、一部の限られた病院などで試験運用を繰り返し、開発が続行中のようです。



その結果どうなったかというと、部屋の隅で顔認証システムの端末とパソコンが誇りをかぶっている診療所がいっぱいあるようです(^^;。
現時点では、このシステムは試験運用段階なので、当然なのですが。



私も申請しようと思っていたのですが、システムの運用上の問題点に気づいて、導入に躊躇っております。



健康保険というものは、患者さんから預かった保険証を元に、各種保険機関に、『今月は、この患者さんにこれだけ医療費がかかりました』という申請書を送ってお題をいただく仕組みになっています。この申請書をレセプト、このレセプトを管理するソフトとパソコンのことをレセコンと言います。



だから、マイナンバーカードの顔認証システムをレセコンに搭載すると、マイナンバーカードをかざして、端末に顔を見せるだけで、保険証の各種情報が手に入ることになります。手間が省け、間違いも減り、大変便利です。



ですが、マインナンバーカードはセキュリティをしっかりいないといけません。
だから、個人情報を管理するサーバーとは、個別に接続していることが望ましいです。
つまり、レセコンとは別のパソコンが必要になります。
そして、マイナンバーカードから読みっ取った情報を手でレセコンに入力しなければいけません。



……手間が減ってません。むしろ増えています(^^;。



しかもパソコン1台増えてます(^^;。



新しいシステムを導入する際のトラブルとしては、よくあるものなのでしょう。
勿論、将来的には、この手のシステムは改善されるのでしょう。
ですが、それが手に入るのは、何年後なんでしょうか(^^;。



コンピュータの世界は進歩が早いです。最新の最高機種を買っても、3年後には普及機に、5年後にはエントリーモデルに負けるなんてことは当たり前です。
つまり、現在最高の機能のものを買っても、本格運用の時になったら、スペックが足りないという事態が起こりえます。というより起きると考えるべきでしょう。
それなので、私は今回、政府がタダでくれるというパソコン一式を貰うのを止めました。




新しいシステムを導入する際に、各種問題があることは当然です。
どこの業界にもあるでしょう。たとえば国鉄(当時)に設置された緑の窓口のオンラインシステム。キャッシュカードを導入した銀行。etc.etc.



その順番が医療の現場にも来たというだけなのですが、個人レベルで超えるのは、一寸大変です。



聞いている話では、マイナンバーカードから読み取った情報を、インターネット経由でレセコンに送るシステムを現在構築中らしいです。ただ、そうなるとレセコンの方もインターネット対応にアップデートしないといけないことになります。それも大変です(^^;。



現場の苦労を考えると、頭が下がります。



私はパソコンのOSがバージョンアップしたら、半年は様子を見るようにしています。
勿論、バージョンアップ直後にインストールして盛り上がるのは楽しいです。ですが、それを楽しめるのは実害がない場合だけです、
現場では2世代ぐらい前のOSで動いているなんて話はよく聞きます。
下手するとMS-DOSで動いている機械が現役だったりします。



ただ、マイナンバーカードの導入は、政府が期限をきめているので、始末に悪いです。
なんとか、安上りかつ安全に導入したいものです。





画像は庭に咲いたグラジオラスです。
グラジオラスは植えてから大体100日ぐらいで咲いてくれます。
花が重いので、風が強いとすぐ折れてしまうのが困りものです。

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