父が元気なうちに読もうと思って手に取った、
チョン・ジア著『父の革命日誌』が、もう、もう素晴らしかった。
パルチザンとして生きた父の突然の死。
葬儀のために故郷に帰った娘の前に現れたのは、思いがけない弔問客たちだった。
娘が知らなかった父の様々な顔。
知るたびに恋しくなり、輪郭は濃くなってゆく。
悲しみとユーモアが充満し、放射する。
死によってよみがえる生に、泣く。
私が30代後半で、叔父が事故で亡くなったとき、
しばらく誰かが死ぬ小説を避けていた時期があった。
人が死ぬのは、現実だけで十分だと。
幸い、ここ数年は、身内がみんな元気だ。
でも、生きているのが当たり前になると、
その尊さが薄まってしまう時もある。
今、この小説を読めてよかった。
明日は父に、いつもより優しくなれそう。