両親を惨殺された12歳の美しき少女、百々子。
彼女の数奇な半生を描いた「神よ憐れみたまえ」を、土曜日の明け方読み終える。
読み応えが凄まじかった。
どんな人生にも、とりわけ人生のあけぼのには、
のちのすべてを決定するような、ある瞬間が存在する。
ジャン・グルニエ/井上究一郎訳『孤島』
エピグラフに引用されたこの言葉。
“ある瞬間”は、間違いなく、あの瞬間なのだと思った。
小池真理子さんは、瞬間を描く天才だ。
時間が静止し、一陣の風が吹き抜けるような瞬間を。
バッハのマタイ受難曲「神よ憐れみたまえ」
チャイコフスキー 「弦楽セレナード」「舟唄」
小説の中に出てくるクラシックを聴きながら、
土曜の夜は、たっぷり余韻に浸った。
今年の夏は、「恋」を、
やはり明け方に読み終わった。
徹夜はお肌によくないし、体内時計を狂わせてしまうから、なるべくしないようにしているのだけれど…
どうしても頁をめくる手を止められなかった。
「恋」の書評は、連載に書きました。
よろしければ、ぜひ。
今年は小池真理子さんの小説に出会えた一年だった。まだ未読の作品もあるので、
来年も沢山読みたい。