予想外の展開に、ただただ呆然としてしまった…
ヴィルジニー・デパント著
「アポカリプス・ベイビー」
やる気もノウハウも野心もない調査員ルーシーは、ある日、尾行中の少女ヴァランティーヌを見逃し、そのまま少女は行方不明になってしまう。
困ったルーシーは、裏社会で活躍していたといわれる型破りなレズビアン、通称ハイエナに応援を依頼。
チグハグな探偵コンビが少女の足取りを追って、パリからバルセロナへ。
女二人の、愉快で痛快なミステリーかと思いきや…
物語は、登場人物一人一人に光りを当て、個人の抱えている問題を描く。
そして、それぞれが、正しいと思う方向へ、歩みを進める。
時には、敷かれてしまったレールの上だとも知らずに。
読後に残る、ひりつく痛み。
そこに搾り出そうとされる、
優しさに似た何か。
微かな希望を提示しながら、
圧倒的な破壊力を持つこの物語。
受け止めきれなくても、
ぜひ知ってほしい。