ファン・ジョンウン著「ディディの傘」
傘は貸した記憶より、借してもらった記憶の方がずっと濃い気がする。
傘を返すタイミングは、わりと難しくて。借りっぱなしのまま傘立てにあると、気になりながらも送るのも大げさだし、雨が降っている日だと荷物になるし、と。
ビニール傘でなければ、なおさら存在感が増す。


ものに宿るぬくみ。彼らの不在と自分の残留。革命。今日をどのように記憶するのか。
読み終わって訳者解説を読んで、もう一度、冒頭から読み返す。
雨粒が光るように、想いの一つ一つが胸をノックする。