本日をもって閉館した、原美術館。
昨年12月23日、麻衣さんと訪れた。

柔らかな陽の光の中で聴いた、自動演奏のピアノが奏でていた、ドビュッシー「月の光」が忘れられない。
来場者たちの惜しむ気持ちが館内に溢れていて、胸が自然といっぱいになった。
あんな風に「想い」と「アート」と「自然」が一体になった空間に佇んだひと時を幸福に思う。

写真を撮っておきたいと切実に思うような、
美しい場所が沢山あった。
でも撮影が一切禁止だったので、
その分、心のシャッターを切り続けた。
だから今でもはっきりと、
脳内に焼き付いている。

大切な場所でも、大切な人でも、
ちゃんとお別れをできないまま、
永遠の別れになってしまうことがある。

もう二度と会えないことが分かっていると、
こんな風に、ひとつひとつのものたちと、
最後の「出会い」をするのだと思った。

忘れがたい光と、音楽と、
ともに呼吸をするように。
私の細胞に染み込ませる。

新しい原美術館にも、いつか一緒に行こうと
約束を。
そこではどんな光が、待っているのだろう。