先日、少し足を延ばして
茨城県の笠間市にある、笠間日動美術館へ。


企画展示室では
「写実絵画のいまむかし」という
写実絵画をテーマにした展覧会が開催中でした。

第一会場では、いま(現代)の写実絵画を。
同じ時代を生きている画家たちの、まさにいまの、作品がずらり。
中でも印象的だったのは…


山本大貴作「手紙を書く女」
購入希望者が多いため抽選販売になるという、
写実新世代の旗手と称される、山本大貴さんの描く女性美と現代性に、強く惹きつけられました。
こんな美しい女の子が、メールの時代(もはやライン)に、白いシャツを着て、机に向かって美しい姿勢で手紙を書いているというだけで尊い。
文字も美しいんだろうな。
彼女から手紙をもらいたいな。
時代設定が今かは分かりませんが。
失われつつあるものが詰まってる。



こちらも
山本大貴さんの作品「Sound of Silence」

二つの作品を観てお気付きの方もいるかもしれませんが、フェルメールの作品がモチーフになっているようです。

見比べてみても面白い。
フェルメールの方は、こちらを向いています。

第二会場では、近代の写実絵画が紹介されていて、日本の写実絵画の歴史が見えてくるようで。
あと20年後の写実絵画はどのようになっているのだろう…と。
今回の展覧会で写実絵画の面白さを知ったので、
これから追いかけていきたいなぁと思います。

そしてそして。



竹林に囲まれた空中廊下を通り、

野外彫刻庭園を鑑賞しながら、
マイナスイオンを胸いっぱい吸い込みながら
フランス館へ。

ここでは、日本の近代絵画に大きな影響を与えたヨーロッパ印象派からエコール・ド・パリへと続くフランスゆかりの著名画家の作品を幅広く常設展示しているのですが…

ドガの「舞台の袖の踊り子」や

モネの「水びたしの草原」など。
もう、これだけじゃなく、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、ボナール、マティス、ピカソ、シャガール、フジタなど、名画が大集合。
これだけのものが、ひそやかに並んでいるなんて、なんて優雅で幸福な空間…!


名画を堪能した後、更に、
とっておきの夢みたいなお部屋が…


壁にずらり。
なんだか分かりますか?


画家が愛用したパレットなのです。
初めて見ました、パレットコレクション。





愛用のパレットですが、もはや作品。
一つ一つ、パレットに魂がこもっている。

画家にとって、とても大切なパレット。

この美術館の創設者・長谷川仁さんが、お付き合いのあった画家たちから譲り受けたものだそうです。それにしても凄い数だし、有名な画家たちが沢山。お付き合いの広さと深さを感じずにはいられません。

で。
ちょっと可愛らしいなと思ったのが、
こちらのパレット。


向井潤吉のもの。
煮干しを描くような画家だったかな?と思ったのですが、「君は私から絵だけではなく、パレットも取り上げるのか。私はもう全てを搾り取られた煮干しのようだよ」という向井さんなりのユーモアだとか。

同じパレットでも、こんなにも個性溢れるものなのかと。画家の素顔まで覗き見しているような、好奇心を掻き立てられるコレクション!

一日かけても足りないくらい。
充実した美術館でした。
またゆっくり行きたいなぁ…!