須賀しのぶ著「革命前夜」を読み終える。
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツに、音楽留学したピアニストの眞山。
個性も才能も溢れんばかりの音大生たちのなか、何度も打ちのめされながらも、
〝自分の音”を求めてピアノと向き合い、それを獲得してゆく。
 
彼の成長と共に、じわじわと伝わってくるのが、
当時の東ドイツの息苦しさ。シュタージが支配する国家の怖さ。
バブル期の日本から来た青年は、厳しい現実を生きる仲間から、時にお坊ちゃん扱いされることもあるが、
それでも負けずに、もがき、苦しみ、美しい音楽に感動し、恋をする。
東ドイツに留学しなければもっと平和に暮らせたかもしれないが、
この時の東ドイツでなければ、きっと出会えなかったであろう音楽が、そこにある。
 
音大生たちの命がけの闘いに、
鳴りやまない音楽に、何度も胸が熱くなった。傑作・・・!