マリーアントワネットの周辺を、うろうろする日々。
惣領冬美さんの漫画「マリー・アントワネット」は、
結婚初期の母になる前の、短い期間を描いた作品ですが、
なんと、ヴェルサイユ宮殿監修で、日本とフランスで同時発売されました。
惣領さんがヴェルサイユ宮殿に赴き、現地で取材を重ね、
また、大量の資料を読み漁り、1年半かけて完成した
マリー・アントワネット像は、ベルバラとはまた違った趣があり、とても新鮮!
左の「マリーアントワネットの嘘」は、惣領さんが「真実のマリー・アントワネット」に
出会うまでの製作秘話が一冊になったもので、
これを読むと、惣領さんの探求心にも脱帽するし、
史実を絵にするということは、こういうことなのだ!と知ることができました。
例えば。
アントワネットとルイが初めて会ったのが、
コンピエーニュの森の「ベルヌ橋」という場所だったと書いてあったときに、
「どうして森の中に橋があるのだろう?」と惣領さんは、立ち止まる。
河川敷があったのだとしたら、情景は全く変わるので、よくよく調べてみたところ、
ベルヌ橋とは、固有名詞で、地名だと分かった。日本でいう、日本橋のようなものだ、と。
だから、川や橋を描く必要はなく、ただ森の中で出会う場面を描くことができた。
「もしビジュアルの記録がなければ、今から200年後の人々が、日本橋という地域を
ただ大きな橋として描いてしまう可能性は十分あるだろう」と。
すごーく大きな橋の上に、お店が並び、人がひしめいている図を想像してしまいました。
そして、今度はヴェルサイユ宮殿のことをもっと知りたくなり、
惣領さんが巻末で、お勧め文献として挙げていた
「ヴェルサイユ宮殿に暮らす 優雅で悲惨な宮廷生活」を読みました。
(下の写真は、アントワネット展で購入した、「あめやえいたろう」の、みつあめ)
現在私たちが目にしているヴェルサイユ宮殿は、演じる者がいない劇場みたいなもので、
実際にそこで暮らしていた王をはじめ、貴族、給仕などが、
どれだけ悲惨だったのかを、
「住居」「水」「火」「照明」「掃除」「洗濯」と、現実的な章に分かれて、
非常に事細かに書かれています。
寒いし、薄暗いし、汚いし、水足りないし、色々大変で、、、
住むことがどんなに悲惨かを、まじまじと感じさせる一冊。
太陽王と呼ばれたルイ14世さえ、体調が悪かった1年は、
宮殿の寒さのせいなんじゃないかって。
ヴェルサイユ宮殿という夢から、
全力で引き戻された感じです。とほほ。
あちこちで、ツリーが点灯しはじめて、
これはまた、夢のように綺麗で、うれしくなるのだけれど。