本一冊、カバンに入れる余裕がなくても、文鳥文庫なら、そっと忍ばせることができる。
文鳥文庫とは、短く、軽く、深く、面白い名作文学を集めた文庫。
昨日は、新見南吉の「手袋を買いに」を読みました。
狐の親子の住んでいる森に冬がやってきて、
冷たくなった子狐の手にあう毛糸の手袋を買ってあげようと思う母狐。
人間が営むお店で買わなくてはいけないのですが、
母狐は昔の怖い思い出が蘇り、子狐だけをひとりで街へ行かせることに。
果たしてこどもは、無事に手袋を買うことができるのか。
はじめてのおつかい、キツネの親子篇。
ほっこりと温かく、キツネを通して見る人間の不可思議さに、
雪が降った朝の目覚めのような、しん、とした静けさを感じました。
祖母が毎年編んでくれる毛糸の靴下。
冬は手放せません。
とっても、とっても、温かいのです。
文鳥文庫の素敵さが、写真だと伝わりにくいので、
動画にしてみました。
くるりと最後に映る言葉は、
「ほんとうに人間はいいものかしら」
いいものでありたい、と思う、冬のはじまりです。