昨日は、高校生直木賞の選考会を、見学させていただきました。


高校生直木賞!


私も初めて知ったのですが、全国の高校生が議論して、


直近1年の直木賞候補作から受賞作を選ぶというもので、今年で三回目だそうです。


昨日は全国19校の各代表生徒が集まり、それぞれの候補作について、熱い議論を交わしていました。


候補作は・・


青山文平「つまをめとらば」 (文藝春秋)

門井慶喜「東京帝大叡古教授」 (小学館)

西川美和「永い言い訳」 (文藝春秋)

深緑野分「戦場のコックたち」 (東京創元社)

宮下奈都「羊と鋼の森」 (文藝春秋)

柚木麻子「ナイルパーチの女子会」(文藝春秋)


でした。 


高校生だからこその意見と、大人顔負けの意見が、ぼんぼん飛び交い、


全ての本の装丁について、率直な意見を言う女子高生や


被災地を回って夜行バスで今朝帰ってきたのだけれど、

そんな自分が作品に何を求めるかということを話す男子高生や、


この作品を受賞作にしても、お金には繋がらないんじゃないか、

と売上げまで気にする女子高生など、



柔らかで自由で純粋な感性に触れ続け、笑い、痺れっぱなしの4時間でした。


最後は、「戦場のコックたち」と「ナイルパーチの女子会」の一騎打ちになり、


数票差で、「ナイルパーチの女子会」が受賞作と決定しました。



「ナイルパーチの女子会」は、「心がえぐられすぎて辛かった」


「これを読んでいる間、落ち込んでいた」など、心にダメージを負ったという意見が多く、


「これを勧めたら、友達何人なくすんだろう?」


と、不特定多数の人に、この作品を勧めるべきかを、彼らは真剣に話し合っていました。



でも、「候補作の中では、一番インパクトのある作品だった」


「読み終わって生徒たちの間で討論が盛り上がった」


人としてどうあるべきかを考えさせられる」


「自分の中にある狂気に気づかされた」という意見も出て、


この作品が選ばれました。



私も「ナイルパーチの女子会」を読んでいる間、いや~な気持ちになって、


あんまり人に勧めなかったけれど、、、


個性豊かな、本読みの達人である高校生たちの話を聞いていたら


選ばれたことにすごく共感できたし、


再読してみよう、と思いました。


また、落ち込んじゃうかもしれないけれど、、、!



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候補作の中で、私が好きな二作品。


「東京帝大叡古教授」は、あっさり最初に落選していました。がーん。


「永い言い訳」は、高校生には早すぎる、という意見もありつつ、


身近な人の死をまだ体験していないけれど、もしかしたら、こういうものなのかもしれない、


ことの重大さについて、悲しみのグレードがあるわけではない、


と、彼らの「死」との向き合い方も、ちらりと知ることができたり。



ひとりひとり、主張がありつつ、みんなちゃんと、他人の意見も聞いていて。


読む力も、話す力も、聞く力も備わっていて。。嬉しくて、頼もしくて。


日本の未来は、明るい、と思いました。



最後、受賞作が決まった瞬間、「イエーイ!」っていうよりも、


ふう~って、一気に力が抜けた生徒さんが多かったのも愛おしくて。。


彼らが自分の力を出し切って、真剣に選ぼうとしたことが


改めて、ぐわっとこちらに伝わってきて。。


胸がいっぱいになって、涙ぐんでしまいました。


そんな私を見て、知り合いの編集者さんが笑ってくれました。


今書いていても、泣けてくる。どれだけ、感動してるんだ、私。



青春を目撃してたんだ、きっと。



高校生直木賞、これからも、注目していきたいです。