「なによりおまえが得意にしてることをやってほしい」と彼は言った。


「すべてを消すんだ」



「ゴーストマン 時限紙幣」読了。


“ゴーストマン”も“時限紙幣”も聞き慣れない言葉だけれど、


どちらも、跡形もなく消える、という共通点がある。


主人公である私、ゴーストマンの仕事は、銀行強盗が姿を消すのを手伝うこと。


名前、年齢、職業から、外見、言語、人格全てを使い分け、(つまり詐欺師!)


仕事が終わったら、自分の印象を残さずに姿を消す。



そんなゴーストマンの久しぶりの仕事は、ある犯罪組織のボスからの依頼で、


ボスの命令に背き、銀行強盗した大金を持ち逃げした男を見つけ、そのお金を取り返すこと。


そのお金こそが、時限紙幣なのだ。


これは、時限爆弾みたいなもので、GPSがついていて、盗まれたと分かると、爆発する、、、!


しかし人的要因も考えられるからタイムリミットもちゃんと用意されていて、それが、48時間。


果たしてゴーストマンは、48時間以内に、時限紙幣を奪還することができるのか?



ストーリーは、これを軸に、ゴーストマンの苦い過去を織り交ぜながら進んでいきます。


過去からの時間と、爆発するまでの時間。


二つの緊迫した時間が、どくんどくん、ドンドンと、迫ってくるので、

後半は止まらなくて200ページを一気読み。


ハリウッド映画を観ているような感覚でしたが、


ラストは、小説ならでは。活字の世界だからこその、胸高鳴る幕切れ。やられた、と、机に突っ伏しました。



ゴーストマン。

姿は表紙のように、逆光でよく見えない感じが始終あるのだけれど、

彼の心の声は、ずっと聞こえてきた。


そこがとっても、好き。