夜の膨らみ、ではなくて、よるのふくらみ。



漢字ではなくて、すべてひらがなにした、このタイトル。


なんとやわらかな。なんと生っぽい。



よるにふくらんだものは、愛情か、性欲か。


充たされたいのは、身体か心か。



商店街の中で育った、みひろ、圭ちゃん、裕太。


頭上には、アーケード。煙草屋のカウンターには、猫。肉屋のコロッケ。



馴染みばかりのなかに、ときどき孤独。



慈しみ深き、男と女。



夜の商店街って、人気はないけど、飾り気は変わらずにあって。


時間が止まっているみたいで、好き。


窪さんの描く、ままならさが、好き。


嘘がひとつもないから、だいすき。