「インポッシブル」を観る。
スマトラ沖地震後に発生した津波に、旅行先のタイで遭遇した一家の実話を基にした物語。
突然襲ってきた津波に、高台に避難する間もなく、あっという間に飲み込まれた家族5人。
バラバラになり、お互いの無事を祈りながら、懸命に生き抜いた父、母、そして3人の子供たち。
この作品の脚本家の方が、
「最も恐れたのは、約30万人が亡くなった出来事の背景の中で、5人の生存者の物語を語ることだった。
それは、慎重にならなければならない。」
とインタビューで語っていた。
悲劇の中の、美談では、ないということ。
この映画を観ながら、
昨年のちょうどこの時期に撮影していた映画「遺体」の現場を、思い出さずにはいられなかった。
脚本の中で作り上げられたものではなく、
そこにあった真実の声を、流された涙を、悔しい思いを、見つけた希望を
全てありのままに、少しの嘘も美化もまじえることなく、
真摯に、覚悟をもって臨んでいた、あの、特別な現場を。
インポッシブルのプログラムを読んでいたら、
同じようなことを制作陣やナオミ・ワッツが語っていたので、
深く、深く、胸に染みて、それが温もりになった。
ナオミ・ワッツとユアン・マクレガーはもちろんですが、
3人の小さな俳優たちのお芝居が、素晴らしかったです。
色々なことを思う、6月の、雨上がり。