2月23日公開
君塚良一監督
映画「遺体 明日への十日間」
私は、津波で母親を失い、遺体安置所に通い続けた女性を、演じました。
君塚監督をはじめ、スタッフ、キャスト全員の
真摯な想いが静かに、静かに、底を流れ続けていた撮影現場でした。
大切な人を失くしても、立ち止まる時間もなく、
遺体安置所で働き続けた方たちの記録であり、
私はこれからも、このときのことを忘れることなく、明日という一日に繋げていきたいと思っております。
昨年、一人で夜行バスに乗って、釜石に行きました。
夕暮れ時に、とても大きな虹が出て。
車に乗っていた人たちも降りてきて、
ただただ無言で、見上げていました。
自然は、時に残酷で。
でもこんなに儚く綺麗なものも、同じ街に、あっけなく生み出す。
見上げたまま動かなくなった人たちの背中と、頭上の虹。
想いや光景が押し寄せてきて。
虹の向こうにあるものに、祈らずにいられなかった。
「遺体 明日への十日間」は、
一つ一つのありのままの真実を、伝えています。
これほど、一人でも多くの人に観てほしいと思った映画はありません。
と同時に、「まだ観るなんて、とてもできない。」という人たちがいることも忘れてはいません。
最後に。
昨年12月、釜石市で、この映画が上映された時に、一人の女性が届けてくださった言葉を
ここに紹介させて頂きます。
「いつも、なんで彼女がなくなって、自分は生きているんだろうと、ずっと思っていました。
でも今日観終わった後、次にもし津波が来ても、また生きたい。
生きていて出来ることをやりたい。生かされたのだからと思いました。」