小橋めぐみオフィシャルブログ「Comment allez-vous?」Powered by Ameba



大好きな書評家、豊崎由美さんの書評集「ガタスタ屋の矜持 場外乱闘篇」。



ときどき、「どうやって読む本を決めてるの?」


と、聞かれることがあるのですが、


豊崎さんの書評を読んで、決めることが多いです。



私が豊崎さんの書評に出会ったのは、もう何年前だろう。。


雑誌「GINZA」に連載されているものを読んだのが、最初でした。



語り口のクリアさに惹き込まれ、本への愛の濃密さと、ダメなものはダメ!とはっきり言う姿勢に、


絶対的な信頼を寄せたのでした。



そして、豊崎さんが絶賛されているものは、間違いない!読みたい!

という思いがふつふつと湧き上がり・・・。



片っ端から、そのほとんどを図書館で予約して、借りて、読んで、返して。


その本の感想をブログに書き綴り。



そうしたら、ある日、


NHK BSの本の番組「週間ブックレビュー」の書評ゲストの出演依頼が来たのです。



番組打ち合わせの日、マネージャーK女史が


「なんで小橋に声をかけてくださったのですか?」


とプロデューサーさんにお聞きすると、


「ブログを読んで、こんなに本が好きなら間違いないと、思ったのです。いい本を沢山読んでいるし。」


との答えが。



ああ、こんなふうに、好きなものって繋がってゆくのだなあ。


誰かは見ていてくれるのだなあ、と、とても嬉しくて。


K女史とあとで、「よかったね!!」と喜び合いました。


ずっと、本に関わる仕事がしたかったから。


私の人生、本に助けられてばかりだったから。




「いい本を読んでいる。」


これは、その後も、本の仕事の打ち合わせのとき、ちょくちょく言われる言葉なのですが、


そのたびに、


「豊崎由美さんの大ファンで。書評が好きで。。」


と言うと、「ああ。なるほど!」


と、向こうの方も納得されます。



でね。


そんなふうに、あちこちで「豊崎由美さんが大好き」と言い続けたら。


ある出版社の方が、


「今度、豊崎さんのトークイベントをやるので、よかったら、ぜひいらしてください。」


と、声をかけてくださったのです。



とっても嬉しい反面、


つまらないものをばっさり斬る怖さもあり。


実際にお会いするとなると、いつもの小心者の私が、ちらりと。



そして当日。


イベント前に、編集者の方が、ご紹介します、と言って、控え室に連れて行ってくださり。


「はじめまして。」のご挨拶を。



「わー小橋さん!今日は来てくれて、ありがとう!」



目の前の豊崎さんは、明るくて、あったかくて、懐の深い方だったのでした。



イベントのお話もとても面白くて、その後の打ち上げまで参加させて頂き。(なんにもしてないのに。)


「あれが好きだったから、これを読んだらいいですよ。」


と、あれこれ教えてくださり、もう、興奮気味で家に帰りました。



それからも時々、豊崎さんのトークイベントにお邪魔して、


その語り口に、笑ったり、静かに打たれたりしています。(俗に言う、おっかけ。)



読書日記の連載を始めることになったと報告したときも、喜んでくださって、


書くことへのヒントを教えてくださったり。


(これについても、いずれ書く。長くなるから。)



とにかくね。


すっごく素敵な人なのです。


私も、もっともっと本を読んだら、豊崎さんみたいな器の大きくて、面白くて、優しい人間になれるかな。


って、お会いするたびに思います。



そんな豊崎さんの最新書評集「ガタスタ屋の矜持 場外乱闘篇」は、


なんと!


「旧約聖書」の書評から始まります。



「主は、ムチャブリ。」



って。


やられた!って思いました。


旧約聖書、読み返そうって。



「ガタスタ屋」は、前半が「読書の気分」と題して、


笑いたい、驚きたい、しみじみしたい、わくわくしたい、ドキッとしたい、


打ちのめされたい、ほのぼのしたい、元気になりたい、考えたい、遊びたい、


と、それぞれに分かれて、本が紹介されていて、


後半は、「正直書評。2008~2012」。


年代別で、書評が載っています。



読みながら、自分のここ数年の、読書人生を振り返りました。


カズオ・イシグロの「夜想曲集」の書評を読んで、それがきっかけで、海外文学の面白さを知り始めたことや、


京都で何を読むべきか分からなくなった時に、豊崎さんの書評で、


津村記久子さんの「とにかくうちに帰ります」を知り、すぐさま、買ってその日のうちに夢中で読んだことや。



豊崎さんと飲んでいるときに勧められた、朝倉かすみさんの「ロコモーション」。


「読む人それぞれの記憶も引き出す、これは思い出の呼び水というべき小説。」と評された、


「ネザーランド」(ジョセフ・オニール著)の余韻は、今も私の胸に残っていること。。



書ききれないほどの、読書体験が、次から次へと甦ってきました。



もちろん、まだまだ読んでいない本も沢山あり。


「ガタスタ屋」で、また、どっさり増えてしまったので。



本屋さんへ行きたくて、うずうずしちゃっています。




小橋めぐみオフィシャルブログ「Comment allez-vous?」Powered by Ameba


写真、右からから三番目。豊崎さん。


幸せで、ちょっと照れ気味の小橋さん。




小橋めぐみオフィシャルブログ「Comment allez-vous?」Powered by Ameba

豊崎さんのサイン。


「読む子は育つ!」


育ちますとも!




会いたい人がいると幸せなように。


読みたい本があると、胸がときめきます。



私はこれからも、豊崎さんの書評を読み続けて、


読むべき本をそこから見つけたいなあ、と思っています。



本好きな方にも。


何を読んだらいいか分からないという方にも。


「ガタスタ屋の矜持 場外乱闘篇」、熱烈推薦いたします。