こんばんは。主宰です。
ここ数カ月ほど、毎月のようにハダカイワシ調査をしていますが、今月も行ってきたので報告します。
半閉鎖的内湾としては珍しく、鹿児島湾は水深が深いので中深層性魚類が分布しています。現在、イワハダカ・キュウリエソ・ヨウジエソの3種が出現していることが分かっています。我々は、これらの魚類がどれくらいの現存量を有するのか、そしてこれら魚類の日周鉛直移動がどれほどの物質を海洋中深層へ(あるいは表層へ)輸送しているのかを調べています。
これまで、中深層性魚類が想像以上に捕れなくて、試行錯誤してきました。しかし、知り合いの研究者から情報を得て、新しい機器を取り付けたところ、しっかりと採取できるようになりました。この試行によって、今後は確実に標本を確保できそうです。今回も、酵素活性を測定するためのサンプルを多く確保できました。
中深層性魚類の餌環境を把握するために、プランクトンネットも曳網します。今回は、卒論生がどれくらいネット曳網・サンプル処理できるかを確かめるための習熟を行いました。12月には、小針・久米・小玉研究室合同で、南星丸における海洋観測習熟航海を行いますが、この時には卒論生が先生役になるため、ここで恥をかかないようにここで様々なことを習熟するための目的です。てきぱきとやってくれて、この直後にあるかごしま丸での海洋観測乗船実習2での作業も安心してお任せできそうです。
今回の航海では、工学部に新しく赴任された日高さんが乗船され、シャドウグラフカメラのテストが実施されました。詳しい説明はまた別途にしますが、プランクトンを水中で撮影し、画像を人工知能を使って識別計数するシステムを構築するための試験です。本当にこのシステムが稼働するようになったら、顕微鏡で識別計数する作業を機械任せにすることができ、研究の幅がぐっと広がる革新的な技術です。
実際、船上ではパソコンを使って作業をするため、海洋物理のような観測が可能となります。プランクトン研究は多分野の研究からかなり遅れていると言わざるを得ませんが、この技術が普及すれば、他分野に追従できる気がします。システム・アプローチは異なりますが、うちの研究室でも類似するシステム構築を卒論生のテーマとしてお願いしています。
今回の航海では、嬉しいお知らせがあります。これまで、司厨部職員が不在だったので、食事を持参していました。新しく職員のかたが赴任され、暖かくて美味しいご飯をいただけるようになりました。これまで普通と思っていたことの有難みを再確認しました。
今月から再来月までは、イベント盛りだくさんです。ネタをため込まないように、少しずつここで報告します。




