おはようございます。主宰です。
沿岸域にもどってきたので、インターネットが繋がるようになりました。
実習が始まってから風が急速に強くなって時化回避しましたが、天候・海況が回復して海洋観測ができるようになりました。時化を予想するのが難しいので、今のよい状況でなるべく海洋観測・係留系設置回収を済ませる予定です。
この実習において、最も優先順位が高く、危険を伴う業務は係留系設置・回収です。非常に重たい機材を取扱うので、危険が伴います。船橋と甲板で連絡を密にして協力しないと、予想しない事故が発生したりします。このため、首席教員は実習生たちの安全確保、首席航海士は甲板作業の安全確保に細心の注意を払います。
現在、実施している大型研究プロジェクトでは、沿岸水と黒潮水の混合による生態系の応答を解析しています。このため、沿岸水と黒潮水が混合する海域に海洋環境を長期間にわたって監視・測定する機器を設置しています。これらを係留系と呼びます。日本だけでなく中国・韓国の漁船が頻繁にトロール操業を行う海域なので、着底するトロール網にかからないように設計された装置を設置しています。
甑島周辺に入れた係留系と同様に、回収時に浮上する浮体が一番上についていますが、浮体の中に流れを測定するための音響装置が入っています。ちょっと異なるのは、信号を送ると浮体が切り離されるのですが、錘となる部分にロープが繋がった状態になっているので錘も回収する係留系となっています。
回収するには、①浮体切離、②浮体回収、③錘回収、の順に行います。浮体回収においては、海表面でゆらゆらと揺れている浮体に近接して鉤を浮体にかけることに熟練の技と経験が必要ですが、かごしま丸の甲板員はこれを易々とやってくれるのでとても助かっています。次に浮体を吊り上げて前部甲板に回収しますが、100キロの浮体が錘と繋がっているので、筋力のある作業者が何人もつかんでいないと海にもっていかれそうになります。つかんでもらっている間に浮体と錘を繋ぐロープを素早く切り離し、ウィンチロープに繋ぎなおします。
あとは、このロープをウィンチで錘までまきとるのですが、200キロの錘と練習船の揺動によってロープにかなりの負荷がかかります。昨年、この負荷によってロープが切れてしまい非常に危険でした。事故に至らなかったでよかったですが、負荷のかかっているロープ・重機設備には近づくなという首席航海士・教員からの説明は守ってほしいものです。ようやく、おもたい錘を回収して作業終了。何事もなく終了することが一番大切です。
本日は、緊張感がありかつ体を使う業務だったので、とても疲れました。早めに就寝して、明日からの海洋観測に備えたいとおもいます。