修論発表会 | COPE (KU Plankton Lab)

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絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんばんは。主宰です。

 

先週の水曜日は、修士論文審査会(最終試験)でした。うちの研究室からは、レオとあ~ちゃんが発表してくれました。

 

レオ:黒潮域における動物プランクトンの脂肪酸組成

黒潮フロントを横断する観測線で採取した動物プランクトンの脂肪酸を測定し、仔稚魚の餌としての質を評価してくれたものです。前のブログでも説明しましたが、黒潮域では脂肪酸を合成する植物プランクトンが少ないので、この海域の動物プランクトンにはあまり有用な脂肪酸が含まれていないだろうと予想していました。ところが、この予想を裏切る発見をしてくれて、この脂肪酸組成についてより詳しく解析することになったきっかとなる研究でした。これまでにやったことない化学分析・解析なので、機器の使い方・分析の手順などに習熟する必要があり、それをやったとしてもおもしろい結果が期待できないようなテーマでした。とても器用で楽観的なレオだったからこそ、このような新発見に繋がったのだとおもっています。後輩の世話もしっかりとしてくれて、我が研究室の基盤を支えてくれた人材です。とても感謝しています。

 

あ~ちゃん:黒潮流域における動物プランクトン摂餌圧

黒潮域とその周辺海域において、船上での飼育実験を繰り返しおこない、動物プランクトンの摂餌圧がどのように変化するのかを調べてくれたものです。黒潮域では、貧栄養のために植物プランクトンが増殖できないことに加えて、動物プランクトンが摂餌するため、植物プランクトンが少なくなると解釈されてきました。我々は、これまでの考え方を少しかえて、植物プランクトンが無くならずに存在できるようなメカニズムを予測し、これを確かめる実験を行いました。その結果、動物プランクトンはかなり摂餌するものの、植物プランクトンを食べつくすことのないメカニズムがあることを発見しました。複雑な実験データを何回も繰り返すため、データ管理・整理・解析がとても煩雑になるのですが、真摯に努力するあ~ちゃんにお願いしたからこそ、複雑な結果・解釈の向こう側にある新発見につながったのだとおもいました。この面倒な仕事をまとめてくれてありがとうございます。

 

修論発表会お疲れ様でした。この春から社会人になるふたりには、何となく社会人らしい頼もしさが垣間見えるスーツ姿でした。我が研究室を選んでくれて、ありがとうございました。

 

最後は、同窓生全員で記念撮影。農林水産学研究科の中でも、大学院生の多いコースに所属する方々です。いずれも、学術的に素晴らしい内容で、勉強になりました。みなさん、ご苦労様。