外洋域海洋観測実習~その3 | COPE (KU Plankton Lab)

COPE (KU Plankton Lab)

絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんにちは。主宰です。

 

さて、第3弾です。

数日間は天候・海況がよいということで、鹿児島湾口部観測終了後すぐに東シナ海の観測海域へ向かいました。この海域では、海底に音響で流速・流向を測定するための機器を回収・設置する作業があり、研究者・学生・船舶職員の総出陣でやらねばなりません。海況が悪くなると事故に繋がる危険な業務なので、会議で作業説明・安全確認した上で協働して取り掛かります。

まずは、音響観測機器の回収から開始です。この機器は既に長崎大学練習船長崎丸によって昨夏に設置しており、その機器に不具合がないかどうか音響によって確認します。今回は、琉球大学から参加した学生さんに、その装置の操作をお願いしました。このような機会は滅多にないのでたいへん貴重で有難いことではありますが、この機器はたいへん高額なのでとても緊張もします。

十分な説明を受けたあと、いよいよスイッチオン!すると、宇宙人と会話しているかのような信号音が発せられます。これは、右舷から降ろしている音響装置から信号を送ることで、海底に設置してある音響装置の状態確認をするものです。何回か状態確認を行ったところ、動作に問題ないということなので、いよいよ海底に設置した音響装置を浮上させることにしました。浮上中の音響装置を交信を続けることで、練習船からの方向や距離が判別できます。今回は、右舷前方150mとのこと。みんなで探索します。

一番最初に発見したのは、愛媛大学から乗船した技術者の大西さん。何回もこの作業をやって慣れているせいか、波間に消える機器の発見も速かったです。こんな感じで見えます。この機器は比較的大きいし、練習船近傍に浮上させるので発見が楽そうです。以前やったワシントン大学の機器よりは、確かに目立つようでした。

船長が慎重に右舷側に寄せて、甲板職員がロープをひっかけることで、ようやく甲板上に吊り上げることができます。吊り上げるととても重いので、甲板上に静置するまで安全に十分配慮しながら、速やかに作業を進めます。簡単にやってますが、これまでの長年の作業によって培われた世界に誇るべきかごしま丸の技術です。

この吊り上げた浮体はまだ機器の一部なので、次は海底に沈んでいる錘の部分を回収します。

こちらはかなり重いので、クレーンやトロールウインチを使って吊り上げます。角が鋭利なので、船体動揺で揺れてぶつかると大怪我をします。さすがの甲板職員のみなさんも、かなり緊張して作業しておられました。無事に回収終了。無事故で何よりでした。休む間もなく、次は音響機器を設置します。浮体と錘が一緒になっておりたいへん重いので、クレーン・トロールウインチを使って慎重に海へ入れていきます。上のほうにオレンジ色の球がついているのがみえるとおもいますが、こちらは切り離し装置です。音響装置を慎重に降ろしていき、着底が確認できたら右舷から別の音響装置で信号を送って、上の球の部分と下の音響装置を切り離します。

切り離した後は、球と切り離し装置を回収します。ウインチなどを使ってロープを巻き取ればよいですが、この観測では毎日筋肉トレーニングをやっている海技士養成プログラムの学生さんたちに150~200メートル分手繰り寄せてもらいました。さすがにしんどかったようです。海洋観測ではあちこちに力仕事が必要になるので、我々は一生懸命作業するとそれ自体が筋肉トレーニングになります。