こんばんは。主宰です。
今回は、ハダカイワシ科魚類を採取した南星丸の乗船実習を報告します。
鹿児島湾は半閉鎖的な内湾で、東京湾や有明海と同じくらいの面積がありますが、非常に深いことに特徴があります。岸から数メートル離れただけで急に深くなり、最深部では200メートルを超えるところがあります。そのため、通常は沿岸域に分布しないような中深層性魚類が生息しています。ハダカイワシ科魚類はその1つであり、鹿児島湾にはイワハダカとヨウジエソという魚類が分布しています。
中深層性魚類の多くは昼と夜で分布深度を大きく変えることが知られており、捕食者からの逃避や餌を追跡するためと言われています。船舶には水深を測定するための音響装置(魚群探知機と呼ばれる)が搭載されており、密集する生物群の影(深海散乱層と呼ばれる)を観察することができます。今回の鹿児島湾における観測では、昼には水深140メートル付近に、夜には水深50メートル以浅に影が形成されていることが観察され、昼夜で鉛直移動する生物群であることが想定されます。トロール網でこの水深を曳網すると、オキアミ類・クシクラゲ・イワハダカ・ヨウジエソ・カタクチイワシが採取されるため、昼夜鉛直移動する影はこれらの生物群によって形成されていることが示唆されます。
通常の乗船実習と異なり、今回は夕方に出港して夜間の作業でした。乗船した学生たちはとてもよく働いてくれて、たいへん助かりました。就職活動が終わった卒論生が多く乗船したのですが、作業要領を素早く理解しながら先にある作業の準備も整えてくれるので、早い時期に内定がもらえる学生はやっぱり違うなぁとおもいました。
今回、いろんな画像が撮影できたので、おいていきます。
トロール網を揚網しているところ。危険な作業なので、首席航海士の指揮のもと、船舶職員のみなさんに協力してもらってトロール網を後部甲板に取り込みます。
コットエンドと呼ばれる、トロール網の先端。ここに、漁獲された魚類が入ります。今回は、小型魚類を採取するための網目が細かい特殊なコットエンドを取り付けています。
コットエンドを開封して、漁獲物を取り出すところ。この瞬間が一番盛り上がるところです。漁獲物が入っていなければがっかりするので。
回収された漁獲物。銀色で目が大きいのがイワハダカ。全体が半透明で細長いのがカタクチイワシ。尻尾だけが半透明なのがヨウジエソ。トロール網は曳網した水深帯にいる生物群を一網打尽にする漁獲方法なので、雑多な生物群が入ることを想定していましたが、意外と種類数が少なかったです。
漁獲された魚類を種類別に分別しました。これは、イワハダカの仔魚および稚魚。女子学生がおもしろがって、綺麗にならべてくれました。崩すのがもったいない感じです。
夜間の全ての作業終了後、釣り好きな学生に魚を釣ってもらいました。昼夜鉛直移動するイワハダカ・ヨウジエソ・カタクチイワシを捕食する魚食性の魚類はどんなものがいるのか、そしてそれらの消化管内容物を解析するためです。今回は、ハガツオの群れに遭遇し、入れ食い状態でした。男子学生だけでなく女子学生も含めみんながハガツオを釣ることができました。
ハガツオの消化管を取り出しているところ。彼は水産高校出身で、乗船アルバイトを何回も経験しているので、魚をさばくのがとても上手でした。消化管を取り出した後は、血抜きして、綺麗に3枚におろしてくれました。
おろしたハガツオは、翌日まかないで刺身にしてもらい、学生・船舶職員みんなでいただきました。上手に血抜きしてくれたおかげで生臭さがまったく無く、かなり脂がのってておいしかったです。何を捕食したら、こんなに脂が乗るんだろう?
今回、夜間の業務ということで、司厨長はだいぶ気を使ってくれて、昼飯はさっぱりしたものを出してくれました。暑かったからそうめんは美味しかった~。
こっちは晩飯のメニュー。誕生日とクリスマスが一緒に来た感じの豪華なメニューでした。夜間の作業なので、気合が随分入りました。
ミニトマトとチーズを生ハムで包んだカプレーゼは司厨長のお勧め。映える~。トマトが一番美味かった~。何でも、有名なミニトマトらしいです。












