海洋観測乗船実習2@その1 | COPE (KU Plankton Lab)

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絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんばんは。主宰です。

海洋観測乗船実習Ⅱが終了してすぐ、次航(外洋域乗船実習・洋上セミナー)の準備と会議に追われ、それが終わったら特別な用件で帰省せねばならず、まさに怒涛の一週間でした。遅ればせながら、そして何回かに分けて、乗船実習の報告をします。

海洋観測乗船実習Ⅱは、九州大学農学部との共同利用で実施する乗船実習科目です。この実習では、①未だ謎の多いニホンウナギの生態を明らかにするための海洋観測・試料採取、②黒潮パラドックス解明のための海洋観測・試料採取・船上実験、を行うことを目的としています。他の実習と異なり、この実習に参加するいずれの学部生・大学院生は先端的な研究成果を担うメンバーとして活躍してもらいます。悪天候・悪海況の中、時には船酔いにも耐えながら責任ある業務を行いますが、こういった経験は陸上では滅多にできるものではなく、参加した学生たちが大きく成長する機会です。これまで乗船実習によって大きく成長した学生たちをたくさん見てきましたので、こういった実習を担当できることは私にとってはとても楽しい瞬間でもあります。水産学部に入学したのならば、1つでも多くの乗船実習に参加するのが良いと個人的には思っています。

この乗船実習ではマネージメント・ホスト業務に追われて、学生たちと触れ合える時間が少なく、画像もあまり撮影できませんでした。学生さんたちや同乗した先生の許可を得て、いくつか画像を置いていきます。

 

救命救急操錬の様子。練習船・調査船では法律によって義務付けられています。今付けているのは膨張式ライフジャケットですが、時間的に余裕がある時には体温を維持でき浮力のあるイマ―ジョンスーツというものを着て脱出します。

 

多段開閉式ネットを組み立てている様子。網口が4平米もある大型のネットなので、時間がかかります。これまでの作業を理解しながら次の予測して手伝いをしたり、人手が欲しい所にすっと手助けに入るという些細なことが社会人としては重要だと思います。

 

観測機器を使った実験室でのオペレーションの様子。鹿大水産学部の学生は経験があるので、九大農学部生にやりかたを伝授します。よく理解していないと教えることもできないので、教えるという行為自体がよい学修になっています。

 

右舷でのプランクトンネットオペレーションの様子。特殊な作業は何1つない至って簡単な作業ですが、作業開始前に用意周到に準備し、遅滞なく観測が進むということが重要です。船では莫大な燃料代がかかるので、1分たりとも無駄にできません。こういったことも、社会人として重要な素養だと思います。

 

多段開閉式ネット投網の様子。この観測機器でニホンウナギをはじめとする多様な仔稚魚を採取するのですが、そのために船舶職員のほとんどがこの作業に従事してくれます。多くの人々に支えられて実習や研究が成り立っていることを意識しなければなりません。

 

多段開閉式ネットの試料回収の様子。多くの労力・時間・費用によって得られた試料ですから、まちがってひっくり返すなどあり得ません。慎重に大切に試料を回収します。この試料はあちこちの研究機関に分与して、効率的・効果的に利用します。

多段開閉式ネットから得られた仔稚魚を識別・分別している様子。小さいものをじっと見つめながら作業するので船酔いしてしまうのですが、採れたばかりの生きた海洋生物は色彩・形態が神秘的で、船酔いを忘れてしまうこともあります。中でも、レプトセファルス幼生は格別です。今回の実習では、実習史上最多のレプトセファルス幼生が採取できました。おめでとう!