かごしま水族館 | COPE (KU Plankton Lab)

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絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんばんは。主宰です。
先週の金曜日、かごしま水族館から依頼があったので、会議しに行ってきました。かごしま水族館の魅力の1つに黒潮大水槽がありますが、飼育されている魚類の中でも人気があるのはジンベエザメです。ジンベエザメは典型的な濾過食者で、動物プランクトンが餌と言われています。しかし、消化管内容物についての知見は少ないらしく、かごしま水族館で飼育されている「ユウユウ」も天然では何を食べていたのかが分かっていません。かごしま水族館には卒業生や知人がおりますので、ジンベエザメの餌は何なのかを調べてほしいと依頼されたわけです。
うちの研究室では、魚類の餌を調べるための方法が3つあります。一番確実なのは、ジンベエザメのウンチに何が入っていたのかを顕微鏡観察する方法です。幸い、水族館職員のかたが出来立てホヤホヤのウンチを採取してくれたので、それを使うことができます。しかし、ジンベエザメのウンチはかなり消化が進んでいて、生物の断片しか見つからないのです。そこで、私たちは別のプロジェクトでやっている手法を使って、これを何とか解明しようとしています。どれも長所・短所があるので簡単ではないとおもいますが、研究室の学生さんたちと協力しながら3つの手法を駆使してどうにか解決したいと思います。結果が分かったら、このブログで簡単に報告します。
明日からは、海洋観測・生物サンプル採取・洋上培養実験のために南星丸へ乗船します。戻りましたら、乗船の報告もします。
今回は、かごしま水族館のバックヤードで、ジンベエザメの給餌作業を見学できたので、そちらの画像を置いていきます。
イメージ 1
8代目ユウユウです。これでもジンベエザメとしては小さいほうなのですが、5mくらいあります。
イメージ 2
ゆったりと遊泳するユウユウの口元に、籠に入った餌を水中に注ぐと、口を開けて水ごと飲み込みます。
イメージ 3
餌はオキアミ(ツノナシオキアミ)とアジのミンチとのことです。1回の給餌でこれくらいを与えます。まだ水槽に入ったばっかりなので、お腹の状態を考えて脂肪分の多いナンキョクオキアミを避けているそうです。ちなみに、水族館職員は、水槽の掃除、餌づくり、給餌などの地味な作業に多くの時間を費やします。ですが、この間に水槽内の生物にどのような変化が起こっているかを正確に把握する必要があるので、豊富な知識・経験と鋭い観察力がとても大切です。
イメージ 4
ジンベエザメのエラに付属する濾過器官。初めて実物をみて感動しました。意外と目合が細かく、小さなプランクトンまで捕捉できそうです。実際、ウンチの中から有孔虫を見つけました。