回想録その1 | COPE (KU Plankton Lab)

COPE (KU Plankton Lab)

絶滅危惧研究室の営みをつづるブログです

こんばんは、主宰です。
今回のように、時々はつれづれなるままに、書きたいことをここに書きたいと思います。
当時、私は出身地の地方公設試にポスドクの職を幸運にも得ることができて、実家から勤務先へ出勤していました。研究職なるものをよく知らない両親はこの不安定で一時的な就職でも希望職に就けたことをとても喜んでくれて、まるで錦を飾りながら地元に戻ってきてくれたかのような歓迎ぶりでした。この時期に退職間近だった親父は、これまでのサラリーマン生活の総括するかのように、休日にはよく勤務先周辺で週末に食事会を設定したものです。ある時、うまい蕎麦屋があるからそこで飯を食おうとなって立ち寄った蕎麦屋は、全国チェーン展開する安かろう蕎麦屋でした。家族での食事でこんな蕎麦屋かよと思いながら食べた蕎麦。やっぱり不味くはなかったですが、美味くもありませんでした。でも、こんなに安いのになんでこんなに美味いだろ?と本気で私たちに尋ねる父。さすがに正直な感想も言えるわけもなく、そうだね美味いよね~とみんなで返事して店を出ました。家族はどのように感じていたか分かりませんが、私は家族の生計のために少ない小遣いの範囲で美味い飯・酒を飲み、限られた枠で人生の楽しみを謳歌していたのだろうと、ちょっと悲しい気分にすらなったものです。
学会出席のため東京出張中ですが、宿泊先にその蕎麦屋を発見。美味いわけではないと知りつつも、オヤジ世代の親父になった私は敢えてその蕎麦屋に入りました。安いがやっぱり美味くはない、でも不味いわけではないということも再確認。しかし、この値段で我慢したからこそ、浮いたお金は家族のためになるはずと思うと、不思議とちょっと蕎麦の味もちょっと上がるのです。この年になって、ようやく親父の存在のありがたさに気づきました。
たぶん、私は今面倒をみているみなさんの親と同世代と思います。今は理解できないかと思いますが、みなさんをここまで立派に育ててくれた親というものは本当に尊敬すべき人です。卒業前には、ぜひ、面と向かって親にありがとうと一言伝えて下さい。