金融機関の貸出形態は、証書貸付と手形貸付が一般的です。
これに手形割引が加わります。
さらに当座貸越という形態もあります。
証書(金銭消費貸借契約証書)、手形は要りません。
あらかじめ当座借越約定書を差し入れます。
当座貸越には二つの形態があります。
一つは特殊当貸あるいは専用当貸と呼ばれる形態。
手形や証書の代わりに借入伝票を差し入れて借りることになります。
金額は確定しています。
そして、もう一方は一般当貸。
当座預金に貸越枠が設定されている形態です。
当座預金がマイナス残になっても、枠の範囲内であれば決済することが出来ます。
放っておいても良いことになります。
経理は厳密に資金繰りを立てる必要はありません。
精神的には随分楽になります。
経営者とて同じ。
これが危険なのです。
いちいち金融機関に説明しなくても借入が出来てしまうからです。
設備資金に充てることも可能。
海外子会社への出資金を一般当貸で調達した企業を知っています。
財務バランスは極めて不健全です。
返さなくても良い金。
しかし金利負担はあるのです。
しかも経営状態が悪化すると、金融機関は専用当貸あるいは手形貸付への変更を迫ってきます。
経営者も経理も資金繰りから遠ざかっています。
途端に資金繰りは逼迫します。
一気に倒産まで行ってしまう危険性があるのです。
なかには一般当貸を自粛するよう金融庁から指導されている金融機関もあります。
一般当貸枠を設定していた企業の倒産が相次いだからです。
一般当貸は資金繰りにルーズになる商品です。
金融機関から勧誘されても慎重に対応されるべきでしょう。