突然頭の上で警報が鳴り響き焼夷弾の雨に恐怖していると、それは17時に町にかかる例の音楽だった。
これ、真下は本気で戦慄するよ。
それはさておき、
何となく何処も寄らずに一日を終えるのもイヤなのだが、あまり知り合いで賑やかなところに行くエネルギーも持っていないそんな夜。
「ご飯を食べに行くんだからね」と自分に言い聞かせ、何故そんな言い訳を用意するのかと言うと前日しっかり同店で呑んだから、その「ちんちろりん」に足を向ける。
豚肉豆腐を食べたいなと思いつつ「ご飯を食べに来たんだからね」と自分に確認し、牛肉カレーをお願いする。
(牛肉カレーって名前がいい)
そこで前日連絡を取り合っていた漢にメッセージをしてみる。東京出張の宿泊先はほぼほぼウチの近所ということからも接触が増えた、大好きな原田さんである。
山口県で「原田」を醸すはつもみぢの原田社長は顔からも話からも人柄がじんわりと滲み出ている愛されキャラである。
いそがしいかたなので(出張だからね)返事が来る頃には深夜と思いきや、アッと驚く為五郎、丁度ホテルに戻ってきたと言うではないか。
原田さんはあまり食欲がなく軽く呑むつもりで落ち合ったのだが、話し出すといろいろ湧いてくるものだ。
同業界の中でも近しい存在
であり、同年齢であり、と弾む要素もそれなりに揃っているのだが、意外だったのは「そんなこと僕だけが思っていることなんだろう」という事柄が幾つか共感出来たこと。そういうのはこの上なく嬉しい。
そうこうしている内に、原田さんから「何か食べようかな」
食欲がやってくる。
そして、頼んだのは豚肉豆腐。全ては繋がっているのだ。
赤ウインナーがあるのに頼まない人なんているのかい(いるだろうさ)
本当に毎回頼まなくてもよい気がするけど…
いつもながら、いやいつも以上に気持ちのよい時間が、瞬く間に過ぎた。
もう十分に呑んだのだが、どうしても原田さんに紹介したく、閉店前の「ビー玉」に1杯滑り込む。
ホテルに戻る前にちょっと立ち寄る最適な環境である。
余談にも程があるが、この看板を見て「はつもみぢ」を思い出すのは、好き過ぎだろう。