予定より遅くなったが、どうしても寄りたかった。
23時5分に大森「吟吟」の扉から中を覗くと、気付いたスタッフがにやりと笑う。

さて癒しの「舞浜ビール」を1杯呑んで帰ろうか。
そう思っていると、日本酒メニューの一行が眼に飛び込んで来た。

「こんな夜に!」

思わず発した僕の言葉に、「こんな夜に何なんじゃい?」と思ったお客がいたのかいないのか(多分いない)、これはお酒の名前である。
僕が好きでたまらない男が造っているお酒だ。
見つけて呑まない訳がない。

満足していると、スタッフNさんが「ラストオーダーですよ」とやって来る。
僕はグラスの中のお酒を見ながら、本来の目的を思う。

「もう1杯呑んでいいと思う?」と訊ねる。
Nさんは笑顔で、「呑んで下さい。もう持って来ちゃったし」とビールグラスをテーブルに置いた。

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