お墓に着いて、山本さんに掃除をする為に使うバケツとタワシを持って来てと言われた僕は、寺務所の横に備えている所に取りに行った。山本さんはお供え用の花を購入していた。

しかし今日は良い天気で良かった、まだまだ冬だが陽射しが暖かく、不謹慎だがピクニックに来てる気分になった。おそらく寺で飼われている猫が、気持ち良さそうに人の墓の横で寝ていた。

あまりお墓参りに行った事が無いので僕は、何をすればいいのか分からなかったが、とりあえず山本さんが、バケツに水を汲んできてと言われたので言われるがまま従った。

あまり山本家の墓は汚れていなかったが山本さんは丹念に墓を洗い上げていた。
僕は何度か水を汲んで、暫くその様子を見ていたが、タバコが吸いたくなったので、山本さんに断ってタバコを吸いに行く事にした。バケツなど置いてた場所に灰皿があるのを既に僕は確認していた。タバコ吸いは、何処に行った時も、まず最初に灰皿が、どこにあるか確認する、最近ではどこかの施設に入ると喫煙スペースがどこにあるか確認する。見つかるとホットして次にやる事に集中出来たりする。
逆にタバコが吸える所が、無かった時はどこか隠れて吸える所は無いかとか、何時間我慢すればいいかとか、又は割り切ってタバコの事を忘れる。
中毒性のあるものは、脳を全てそれに支配されたようで厄介でしょうがない。
今僕の脳は山本さんの墓から最短で灰皿を目指そうとしている。
しかし沢山のお墓が立ち並んでいて迷路に入ったかのようにジグザグに進んでいた。

平日の午後とあって墓参りに来ていたのは、僕たちだけだった。
と思った瞬間、墓石の横からすーっとばぁさんが出て来た。

昼間とは言え僕の心臓は止まりそうになった。

ばぁさんは僕に話しかけて来た

ばぁさん『貴方はあの男の知り合いですか?』

見た目は80過ぎだったが思ったよりはっきりした口調で話し方も上品だった。志村けんが、ばぁさんを演じる時のような喋り方や声質を想像していたが完全に裏切られた。

小林『ええまぁ知り合いですが』

ばぁさん『あの男には着いて行かない方がいいですよ。』

そう言い残しばぁさんはその場からゆっくり立ち去って行った。

怪奇的な現れ方、そして年寄りの助言、相場は絶対に信じてた方がいいに決まってる。
しかし、はいそうですか分かりましたと簡単に信じる訳にも行かない。
とりあえず頭の片隅に、あのばぁさんの言葉を忘れ無いように閉まって置く事にした。


★まだまだ続く
この話しは1月2日の喫茶店にてから読んで下さい。



★告知
「チョップリン凹劇場 vol.15」
■日時
2011年4月24日(日)
18:30開場/19:00開演
■場所
道頓堀ZAZA POCKET'S
大阪市中央区道頓堀1-7-21 中座くいだおれビルB1
http://www.vitalartbox.com/top.html
■出演
チョップリン、トライアングル
■料金
前売 1,500円/当日 1,800円
■チケット
チケットぴあ 0570-02-9999
<Pコード 411-752>
3月26日(土)発売
■お問い合わせ
松竹芸能 電話 06-6649-8640



5月4日5日に『都会の夢』を東京・阿佐ヶ谷にあるアート・アニメーションのちいさな学校 地下劇場にて上映する事が決まりました。
3年ぶりの東京上映です。

時間:両日19時開始
料金一般1200円学生1000円