rh 190810(土)

岩間に到着。少し間がある。腹が減った。水戸で土産と腹繕いをと思ったが、旅の常識「小腹が空いた程度がいい」、それが出張歴の長い私の定跡。

あれも食べたい、これも食べたい。あれがいい。これがいいとすぐ気持ちが移ろう私にはそれが性に合っている。

しかし今回は度肝を抜かれた。

定跡が通用しないのだ。考えてみるに出張は、金になる地方の都会ばっかりだったもんね。プライベートな過疎の旅は違う考え方をしなければならない、と肝に銘じる>

 

岩間を降りる。改札こそスイカが使えるものの東京文化はそこで遮断。

駅前にターミナルらしきものはなく、商店街どころか店がない。したがって飯を食うところもない。土産物屋など跡形もない。

ない、ない、ない。

三重県の三瀬谷。じーさんの故郷にもパチンコ屋と食堂と小型スーパーくらいあったぞ?

 

合気道の植芝先生が亡命? したあの頃はどんなだったろう、と想像する。改めて先生を尊敬してしまう。

 

案内所ないので近くの文化センターまで。そこでやってメシの食えるところを紹介しもらうが500メートルほど離れた国道沿い。やはり車社会なのだ。

 

かつ丼850円

かつ丼は卵たっぷり。昔ながらのカツ丼。ファーストフードのかつやに慣れきっているのでむしろ新鮮に感じられた。

 

  

昔のままだ。昔のそば屋だ。だから都会のファーストフードのかつ丼屋より高い。客が少ないから客単価を上げないとやってられないのだろう。
私が就職した三十数年前と何も変わぬ。

チェーン店など夢の夢。競争社会から取り残された過疎の村の残影をそこに見た。

 

バテいているのか半分くらい食ったところでギブアップ気味。疲れているのかなあ?

しかしそんな中にも救ってくれたのは、素朴な小鉢のキュウリの酢の物。酢が効いてて田舎らしくってとてもとてもうまかった。漬物も田舎の古漬け。これもおばあさんの手の香りがする。うまい。味噌汁だって地元でとれたであろう野菜が入っており新鮮さを感じる。

 

こんなのは都内では食べられるものではない。

うだるような夏。数百メートルも歩いてきてよかった、と思った。

これも数十年変わらぬ味なのだろう。

そしてこれからもこの町は置いてけぼりなのだろう。


権力の介入を避けるためにこの場所を選んだ合気道開祖植芝守平先生の気持ちが少し、ほんの少しわかったような気がした。

 ※昨日より続く……