180104(金)
本書はソ連時代のスターリンの大虐殺が200ページ弱にコンパクトにまとめられている。
ジェノサイドと言う言葉は長らく「大量虐殺」同義語だと思っていた。
しかし少し違う、ということに気づかされた。

スターリンのジェノサイド

 

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1948年12月国連での議決によると、
「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約」(通称:国連ジェノサイド条約)が締結された。
民族、国民、人種、宗教集団の抹殺を対象としたもので社会、政治集団を対象としたものは含まないと言うのだ。
なぜか?
「社会、政治集団」を含めると当時のソ連、スターリンが犯罪者になってしまうからだ。
当時から発言権を持っていたソ連、スターリンがこれをはずしてしまったらしい。

だから言葉の上では、
「ソ連、スターリンはジェノサイドを行っていない」
ということになるらしい。

しかし一般市民の私達には言葉の定義より大切なことがある。それは依然として「スターリンは大量虐殺者だ」という事実だ。

1930年代から60年代まで約30年間で、戦死者以外で2000万人~3000万人もの敵でもない自国民を殺害した独裁者がかつて歴史上いただろうか。しかもほとんどが濡れ衣で。


当時のソ連の人口は1億3000万ほど。どれだけの割合か考えると頭がクラクラしてくる。
ナチスドイツ、ヒトラーの犯罪すら霞んできてしまう。
それが天寿をまっとうしたのだから「神様はどこにいるの?」という気になる。

ドイツは敗戦国だ。ナチスの文献、情報も存在するものはすべて公になり、ドイツ人たちもナチスによる罪を反省し、それは現在に至っている。
しかし戦勝国のソ連、その系譜を受け継ぐロシアは始末が悪い。いまだに都合の悪い情報はオープンにしないから旧ソ連共産主義の犯罪はなかなか明るみに出なし、反省もない。

ロシアは日本の隣国。できれば仲良くしていたい。
でもかの国のお国柄がこうである。国民性がこうである、ということは日本人として知っておいたほうがいいと思う。
日本人にはとてもこの世のものとは思えない恐ろしさ。

さらに知りたい人はこちらの本もオススメの本。
これはもっと身の毛がよだつ。

スターリン―赤い皇帝と廷臣たち〈上〉

 

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国家権力は恐ろしい。とりわけ国家としてのロシアはやはり恐ろしい、と実感したしだい。