170518(木)昼
わが愛する街神田神保町は実に変わった街だ。
いもやをはじめとするてんぷら、トンカツ王国でありさぞかし堪能できると思いきや、実はそうでもないのだ。
てんややかつやというチェーン店がないのだ。いや入り込めなかった。数年前出店したのだがみんな撤退した。それほどに地元の個人店が強かったのだ。
とここまではいいのだが、私の愛するトンカツの店彼の矢、駿河と相次いで閉店。そしてトンカツのいもやは800円に値上げ。いまや私の頼るのは小川町の690円のとんかつ六九のみである。
そしててんぷらのいもやはいつもすごい行列。
意外に不便なのだ。
つまりチェーン店不毛が悪いほうに出てしまっている。少なくとも私には。
で、街から出ると今度はそこでしか食べられないオンリーワンの個人店、他の店に行ってしまう。つまりかつやとてんやには縁がなくなる。
よってトンカツとてんぷらに恵まれ、好きなのにもかかわらずいつまで経っても食べられないという珍ドーナツ現象? が起こる。
この歳だとそのほうが体にちょうどいい??
今日は大宮(埼玉)だった。せっかく大宮に行くので大宮ナポリタンって何? 大宮の老舗の洋食屋のハンバーグってどんなだろう? と希望に燃えて駅に降り立ったのだが……。
今日は少し事情が違った。
いやー、情けない日和ってしまった。財布に負けた。ここんとこランチ700円の喫水線をずっと超えている。ここはやはり節約せよ、という神のお告げか?
小そばセット550円。
390円ではなんだか申し訳なくって少しでもと思い、小そばセットに。
小市民は意外に気が小さい?
天丼。私が就職したころはたいていは1,200円。高嶺の花で食べられなかった。技術料が高かったんだね。それがロボットの登場でこの値段で食える。なんという恵まれた時代なのか?
味など二の次、「てんぷらを食った」この一念。これである。
てんぷらのうまいまずいは私にはまだ良くわからない。私はてんやで十分だ。人生身分相応。私の舌と財布にはこれがお似合い。
数日前、感動のテレビに食い入った。
銀座のすしの「数寄屋橋次郎」と門前仲町のてんぷらの「みかわ是山居」の店主の物語をNHKスペシャルで観て感動。
名人達人の境地、努力精進は何にしてもすごいし、意外に素直で素朴な人間的な面があるもんですね。そして熱い友情と相手を尊敬しつつ、互いを思いやる気持ち。
いつの日か行ってみたい。今行っても味はわからんし、身分不相応だろう。行くだけだったら貯金下ろしたらいつでも行けるけどそれ邪道のような気がする。
胸を張って行けるのはいつの日だろうか。それに見合う人間になれるのか?
一生無理かもなあ?
そんなことをてんやで考えながら天丼をついばんでいた。