第13期将王決定戦 決着 | こばごうのコレ切ってアレ食って

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小林剛による天鳳名人戦自戦記など

将王決定戦は全15回戦。
14回戦のオーラスを迎えてこんな点数状況になっていた。
東家 清水 英二 35800(+7.6)
南家 忍田 幸夫 37600(+40.1)
西家 小林  剛 18700(△41.8)
北家 武則 輝海 37900(△8.9)
()内はこのまま終わった場合の順位点を足したトータル。
首位の忍田とは80ポイント、つまり8万点差という絶望的な
大差だが、ここで忍田の着順が上がるようではもっと最悪。
1着順につき8000点の差がつくこのルールでは、これ以上
離されるわけにはいかない。
自分の4着は観念して、何としても武則のトップを守り、
できれば忍田から2000以上を直撃して3着に落としたいところだ。

そこで私がこんなテンパイ。
二萬二萬四萬五萬六萬六筒七筒七筒八筒八筒九筒九筒五索六索
ドラ八索はなく、六筒を切れば予定通りの2000点のテンパイ。
ところが、対面の清水の仕掛けがこうである。
 横七萬五萬六萬横六索五索七索
このを六筒を切ってロンと言われれば、
レアケースだがタンヤオ三色ドラドラの11600の可能性がある。
そうなれば私の決定戦は完全に終わってしまう。
ということで私の選択は苦渋の九筒切り。
これによって警戒ゆるんだか、忍田から七索の直撃に成功した。
これがなんと、この日の私の初アガリ。
この渾身の1000点で、最終戦にわずかな可能性を残すことになった。

すると、続く15回戦の東1局に奇跡が起こった。
武則の親リーチに対して清水が回って打った現物の南
私が国士無双のアガリ!
見逃して直撃に賭けるという選択もあったが、自分がアガリを逃す
リスクが大きすぎるのでさすがにアガっておくべきだろう。
あとは忍田との点差が問題。
忍田2着ならあと4万点、3着なら3万点ほどの
点差をここから作る必要がある。
おおざっぱに言えば、4000オールを2回アガって
あとは展開次第といった感じだ。

東4局。1回目の親番、ここでまずどれだけ叩けるか。
5巡目。
四萬五萬六萬四筒五筒一索二索三索四索五索六索九索九索 ドラ中
さあきた。1回目の4000オールだ。
ダマで5800を直撃しても忍田の3着が決まるわけではないのだから
当然の即リーチである。
9巡目。私は三筒をツモ切り。
武則清水はオリていて、手詰まり模様の忍田だけが
比較的通りそうな無筋を1枚だけ切っているという状況。
1300オールをアガっても大きく状況が変わるわけではないので
高めをツモってさらに2700オールを加点するチャンスと
見るべきなのである。
「とりあえずアガっておいて次局に期待すべきだ」という意見の人も
いるだろうが、そういう人は2600オールという点数がどのくらいの
頻度で起こるか考えてみたほうがいいだろう。
9巡目で高め2700オールのリーチが入っている現状のほうが
有利なのは明らかである。

実はこのリーチ、20秒長考してからのものであった。
12巡目くらいまでで特に押し返してきている人がいなければ
安めをツモ切りすることは決めていたのだ。
ところが結果は最悪。ツモ切った三筒を武則が合わせると忍田がチー!
ドラ暗刻の勝負手で、そこに私が飛び込んだのである。
二萬三萬四萬二筒三筒西西中中中横三筒四筒五筒 ロン一筒

これでもう勝負あり。忍田の優勝が決まった。

第13期将王決定戦 最終成績
忍田 幸夫 +59.6
小林  剛 +10.1
武則 輝海 △26.6
清水 英二 △46.1

この決定戦を通じて、忍田のゲーム回しが見事だった。
特にこの優勝を決めた東4局の手順と押し引きだけでも
是非見てもらいたいと思う。
http://nico.ms/lv243852165
優勝のかかったこの局面。大量リードのトップめで
このアガリができる人はなかなかいない。