自然エネルギー推進庁は不要
こんばんは。
小林鷹之です。
最近は湿度が高いですね。
ネクタイとスーツを着て動いているとすぐに汗だくに…
「スーパー」とまではいかなくとも、普通のクールビズに転向しようかなと考える今日この頃です。
さて、先ほど、菅総理が「自然エネルギー推進庁」構想に言及したとの報道がありました。詳細は不明ですが、この手の発想には正直辟易としています。
自然エネルギーの問題に限らず、何か問題が生じる度に、新たな「器(=組織)」を設けることを解決策として挙げることはあまりにも短絡的です。
過去に何度失敗してきたことか。
震災後にも似たような会議や委員会が乱立し、混乱し、結局機能しなかったのは記憶に新しいところです。
もしかすると、先般衆議院本会議で自民、公明、民主による賛成多数で可決された復興基本法案の修正案において、「復興庁」の創立が盛り込まれたので、新たな組織をもう一つ作ってみよう、と考えたのかもしれません。
でも、復興庁は、縦割りの弊害を克服する観点から、複数にまたがる組織に横串を入れ、かつ、 企画・調整のみならず実施の権限まで付与する点で、新たな機能が期待されます。
しかし、今回の場合、自然エネルギーを推進する発想には賛成しますが、そのために、仰々しい組織を新たに設ける意義がどれだけあるのでしょうか。
新たな課題に直面した際に、まずなさなければならないことは、既存の組織や人を効果的に動かすことです。
権限や目的が曖昧なまま、盲目的に組織論に飛びつき、新たな器を安易に設けるとすれば、結果として、屋上屋を架すことになるケースが多々生じるであろうことは想像に難くないし、何より、現場で働く公務員が混乱するんです。
官僚組織には、既存の組織を守ろうとする本能がありますから、新たな器を設けることに抵抗する傾向があるのは事実です。
本当に改革の必要がある場合は、政治が決断しなければなりませんが、 今回の場合は、リーダーのビジョンや決断力の欠如が原因であり、それをはき違えて、組織の問題として片づけようとするのは安易に過ぎると思います。
(追記)『小林鷹之からの手紙』 Vol.2をアップしました。ココをクリック!
エネルギー戦略の転換期② ~再生可能エネルギーの導入のために~
(前回からの続き)
まず、発電と送電の分離について。
戦後、国策上の観点から、地域ごとの電力会社が独占的な電力供給を行ってきました。最近でこそ規制緩和の流れで「電力の自由化」が叫ばれ、大口需要者向けやマンション向けの電力供給については新規参入が認められるようになっています。しかし、ここには大きな問題がある。
発電事業に新規参入しても、結局は既存の電力会社が保有する送電網を借用せざるを得ない現実です。借用コストを負担してもなおビジネスを展開できる企業は限られています。これが再生可能エネルギーの導入が進まない背景でもあります。
次に、総括原価方式。
簡単に言えば、電力会社は、発電所や送電設備の設置、維持管理コスト、燃料費などの「原価」に対して一定の比率をかけた額を「利益」として上乗せして電気料金に反映する仕組みとなっています。つまり絶対に赤字になりません。問題は、原価が大きくなればなるほど利益が大きくなる(=電気料金は高くなる)という構造です。ここにはエンドユーザーである消費者の利益を考慮する余地はありません。このままでは、再生可能エネルギー導入を阻んでいる高コストの壁を乗り越えるインセンティブが働きません。
発電と送電の独占体制にしても、総括原価方式にしても、何故このような制度疲労を起こしているシステムが今もなお残存しているのか。
その大きな原因の一つが、いわゆる「天下り」です。
監督官庁である経済産業省OBが電力会社の重役として天下っています。昔の上司に対して、なかなか強いことは言えない。だから、監督する側とされる側とがなあなあの関係になる。
私は、「天下り」を頭ごなしに批判しているわけではありません。豊かな経験と知識を備えた有為な人材であれば、出身母体如何にかかわらず、社会のために最大限貢献して頂きたい。しかし、昔の上司が監督対象である電力会社の幹部になったから言うべきことを言えない、というのでは国民を愚弄するにも程がある。
だからこそ、こういう体制に政治がメスを入れなければなりません。
既得権益に迎合する政治屋は要りません。
既得権益と対峙し、国民のためにメスを入れるのが政治家に課された責務です。
私は、この責務を果たすことを通じ、日本が誇る「技術力」を存分に発揮できる環境を作りたい。すなわち、電力業界にも新規参入を認め、工夫と創造により「技術力」を高め、安価かつ安定的な電力を供給できる企業を応援する。「独占」による怠惰ではなく、「競争」による向上心を導き出すことによって、この国の未来へのブレークスルーへと繋げていく。
それが私の願いです。
エネルギー戦略の転換期① ~再生可能エネルギーの導入のために~
(以下は、先般発行したメールマガジンに記載された文章です)
徐々に蒸し暑くなってきましたね。
梅雨が明けると、本格的な夏到来。節電の夏。
私自身も、小さな娘の体調を崩さぬような工夫を今から考え始めています。
今回の原発を巡る一連の出来事を通じ、我が国のエネルギー政策のあり方を真剣に見つめ直す時期が来ています。
原発を「積極的に」推進していく従来のスタンスを改めることは必然の理でしょう。
確かに、石炭や石油のほぼ100%を輸入に頼るこの国が、これらの化石燃料に依存しなくて済む体制を構築すべく、原子力の平和利用に着手したことは、エネルギー安全保障の観点からは正しい選択だったと思います。しかし、今回の事故による甚大な被害に鑑みれば、二度と同じ悲劇を繰り返してはならない。その覚悟をもって、災害に強く、かつ、経済成長や環境とも親和性のある新たな体制を構築していかねばなりません。
今後のエネルギー戦略の方向性について、私自身は、
・当面は原子力に依存し続けざるを得ない。
・しかし、再生可能エネルギーの導入と省エネの技術開発を促進していくことを通じ、中長期的に原子力や化石燃料への依存度を逓減していく。
とのスタンスに立っております。
つまり、原子炉については、新規立地は行うべきではないが、既存のものについては安全性を確認した上で運転を継続すべきとの立場です。現在運転中の原子炉を即刻停止すべきとの声も一部にありますが、その心情は理解できるにしても、計画停電や電気料金の上昇が日本経済へ与える影響を考えれば現実的な選択肢ではありません。
その上で、今回は、再生可能エネルギーの導入について思うところを述べたいと思います。
ご存知の通り、再生可能エネルギーとは、水力、太陽光、地熱、潮汐、風力、バイオマスといったエネルギーです。石油や天然ガス、或いは原子力発電に用いられるウランなどの枯渇性エネルギーと対置される概念です。
先般、菅総理が、再生可能エネルギーの比率を2020年代の早い時期に20%に引き上げるとの目標を国際社会に向けて打ち出しました。政権運営能力に大きな疑問符が投げかけられている中での中長期的な発言は残念ながら重みを持たず、パフォーマンスの色彩を強く感じますが、その方向性や意欲については否定すべきではありません。
世界には、サハラ砂漠の太陽光、アルプスの水力、大西洋の洋上風力等を利用した電力を、とてつもなく広範囲に渡る送電網で繋ぐことを検討している欧州スーパーグリッド計画のようなものも存在します。
ただ、我が国において、再生可能エネルギーの比率を増やしていくためには、まずは既存の電力の供給体制にメスを入れる必要があります。
端的に申し上げれば、発電と送電とを分離すること、そして、総括原価方式を見直すことです。
(次に続く)