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プライド

おはよう晴れ



もう高座に復帰するのは無理と聞いていたので覚悟はしておりましたが、川柳川柳師匠がお亡くなりになりました



僕が入門した頃は楽屋でよく文芸雑誌を読んでいらっしゃる方でした



軍歌を入れた漫談が多い師匠でしたが、圓生師匠の弟子らしく芸には厳しい目をおもちで、小三治師匠に対しては何か思うところがあったようです



圓生師匠が歌舞伎座で独演会を開催した時の一席目が首屋という噺



川柳師匠も時々おやりになりましたが、短いこの噺をやる前に顔つきが変わる師匠の様子が好きでした



圓生師匠の独演会のあとの打ち上げで、酔っぱらった川柳師匠が、俺も師匠みたいな落語をやりてぇんだ❗と叫んだ話も好き



へべれけに酔っぱら川柳師匠が圓生師匠のお宅の前でウンチを



それを見た圓生師匠が怒ったのなんの



お前だなと怒られた師匠が、私じゃありません犬の仕業ですと言った時の圓生師匠のひと言がこちら



犬が尻を拭くのに紙を使うかッ❗



大先輩の皆さんが僕のことを呼ぶ時は、小朝か小朝さんですが、師匠だけはずっと小朝ちゃんでした



独演会にもよくゲスト出演して下さいましたが、僕の独演会に出るのを楽しみにして下さっていた話を後で聞いて嬉しかったな



あ、そうそう、涙そうそう。恋をしていた頃の師匠は活き活きしてましたね



そういう先輩を何人も見てきましたが、人によっては服装がガラッと変わったりして



毎日ウキウキしている先輩の様子は実に微笑ましい



僕がいちばん印象に残っているのは新宿末廣亭の楽屋での出来事



ほろ酔いの師匠が楽しそうに話をしていると



多少大きめの声だったために、後輩が厳しい口調で静かにして下さい❗と注意したんですよ



その瞬間、師匠の眼光と表情が変わって



お前、誰に向かって言ってるんだ❗って怒鳴ったんですよね



こんなに激昂した師匠を初めて見ましたが、思わず口をついて出た<誰にむかって>というひと言に師匠のプライドの高さを感じました



まだお元気だった頃、許可を頂いて師匠のお宝ネタの<ジャズ息子>をやらせて頂いたことがありましたが、いつかまたやってみたいと思います



ずっと楽屋にいて欲しい師匠がまた1人いなくなってしまいました



寂しすぎます😢