ある日の楽屋2 | 春風亭小朝オフィシャルブログ Powered by Ameba

ある日の楽屋2

おはよう😄



前座時代、働いていて面白かったのは建てなおす前の池袋演芸場です



なんかさぁ、楽屋の雰囲気が長閑というか、ゆるいんですよねぇ



だから前座もやりたい放題



先代の圓楽師匠の惣領弟子である鳳楽兄さんなんて、出演者の時間をつめさせてわざと穴をあけ、そこに自分が上がるんですよ



前座なのにちゃんと羽織の用意もしてあって、さも二つ目が代演にきましたみたいな顔をして大ネタの稽古をしちゃうんだから凄いでしょ😆



昔の池袋演芸場は高座の後ろが薄い板で、その裏が楽屋なんですよ



しかも、上手の袖は扉がなくて暖簾だけだから、高座の声も楽屋の声も良く聞こえるわけ



面白かったのは若手が高座に上がっている最中に談志師匠が楽屋入り



前座たちのご苦労さまです❗という声で、演者には師匠が入ってきたことがわかるわけ



その途端に緊張で噛みたおす人がいるんですよね😆



驚いたのは、某先輩が高座に上がっている時に談志師匠がいきなり後ろの板をどんどん叩いて、下手くそ❗降りろッて叫んだんですよ



これは気の毒だったなぁ



バカウケしている順子ひろし先生の高座を裏で聞きながら、いいなぁ、この人たちはいつもウケてと羨ましそうにつぶやいた志ん朝師匠のチャーミングなこと



長短という気の長い人と短い人の対比をえがいた落語があるんですけど



ある時、小三治師匠があまりにもゆっくり喋りすぎてヨダレを垂らしたんですよ



それを見た最前列のお客さんが思わず、汚ぇ



その声が丸聞こえで、袖の若手が爆笑したなんていうこともありました



先代の歌奴師匠が高座にあがっている時に、うちの師匠がお先ィって上手袖から声をかけたんですよ



そうしたら歌奴師匠が少しも慌てず、落語の中にお疲れッ❗っていう台詞を入れて先を続けたんですよね



こういう風景が楽しめたのは昔の池袋演芸場だけ



こん平師匠の真打昇進披露の時に、トリの高座を終えた師匠がサッサと帰ったあと、残った先代の三平師匠が前座ひとりひとりに有難う、こん平を宜しくと言いながら祝儀を配っている様子を見て、師匠の有り難さを実感したのも池袋の楽屋でした



偶然ではありますが、先代の小さん師匠の頭にハンガーを落とした前座が、畳と同化するくらいに真っ平らになって謝ったり



靴を履こうとしていた圓生師匠のほっぺたに靴ベラについていたゴムがビシッといい音で当たったり



昔の池袋は珍しい光景が見られる楽しい寄席でした😆