芸はスプラッシュマウンテン | 春風亭小朝オフィシャルブログ Powered by Ameba

芸はスプラッシュマウンテン

おこんちグラサン晴れ



囃子方の人間国宝、堅田喜三久先生、藤間流宗家の藤間勘十郎さん、そして歌舞伎役者の中村鷹之資君の集まりにお邪魔して鰻をいただいてきました😄ちゃっかり



これでもかというくらいソーシャルディスタンスに気を配った会合でどんな話題が飛び出すのか、なるべく口をはさまずに聞いおりましたが



踊りがイマイチの人とやる時は、自分が後ろでリードして少しでも良い舞台に仕上げるように心がけているという喜三久先生のお話しはやっぱり面白い😆



45歳まで舞台でアガったことがなかった先生は、まわりの人たちが緊張したり精神安定剤を飲んでいることがまったく理解できなかったそうです



ところが、45歳の時に上方の会に東京からたったひとり呼ばれていったら、まわりにいる人たちが凄い人ばかりでバチを持つ手が震えだし



そこで初めて、アガるということを覚えてしまったそうで、以来、ここいちばんという時にアガるようになってしまったとか



アガることを覚えてしまった、という表現が面白いでしょ



先生の経験上、全員が上手いとあまりいい結果が出ないそうで、100点の人を中心に70点くらいの人が揃った時のほうがアンサンブルが良くなるそうです



勘十郎さんの話で面白かったのが



歌舞伎のハイパー名人、六代目菊五郎丈が踊った鏡獅子を小津安二郎監督が撮ったものが貴重な映像として残っているんですが



勘十郎さんがお爺さんの(人間国宝、藤間勘祖先生)から聞いた話によると



あの映像は六代目がやる気のない時の踊りで、気を入れた時はあんなものじゃなかったそうです



六代目は地方へ行き、初めて歌舞伎を御覧になるようなお客様を前にした時に本気を出すことが多かったそうで、踊りの撮影くらいじゃその気にはなれないらしい😁



喜三久先生も勘十郎さんも、100点を狙いにいくような芸をする気はサラサラなく



先生曰く、ワクワク感がたまらなくて何度も乗ってしまうスプラッシュマウンテンのような芸を目指しているそうです



まさか85歳の人間国宝から、スプラッシュマウンテンの例え話がでるとは思いませんでした😆カハッ



先生はまわりから、これをやっちゃダメと言われるとやりたくなる性分だそうで



芸は自分の思った通り、やりたいようにやるのがいちばん



そして、なまじ学問ができると芸に悪影響がでる、とおっしゃってました



あと、先生がサラッと口にされた



この歳になると、やっちゃん(本名・康仁)って呼んでもらえるのが嬉しいんですよ



そんな風に呼んでくれる人がいなくなっちゃったから



というひと言が印象に残りました。これは落語界でもあることで



楽屋で大先輩がボソッと



昔話ができる人がいないから、最近、楽屋にくるのがつまんなくてさぁ、とおっしゃってました



今、落語界で僕のことをヒロちゃんと呼んでくれる人が三人おります



一朝兄さんと、あとは同期のぜん馬さんと円楽さんなんですが



僕より年上のこの三人には、うんと長生きをしてもらわなくちゃ😆