素直になれなくて
こんばんは~
寄席から帰ってきたよん
色んな人に会えて楽しかったよん
さて、今夜の物語は、あるOlさんのお話です
タイトルは、<素直になれなくて>
またやってしまった
尚之との電話をきったあと、すぐに美和はそう思った
やっぱり私たちはこれ以上無理だと思う。それじゃあ
今まで、何人もの男に言ってきた台詞だ
いつの頃からか、美和は相手につらくあたることでしか愛情の確認ができない女になってしまった
理由は明白で、要するに自分に自信がないのだ
これだけの無理を言ってもついてきてくれた
その事実だけが美和を安心させた
ところが最近は、それが徐々にエスカレートしていき、ふり返ると誰もいなくなっていた
美和の困ったところは、こちらの計算違いで男が去ろうとした時、後を追えないことだ
もし追いかけてふられてしまったら、当分立ち直ることが出来ないことが自分でもよくわかっていた
去る者は追わず
そうすることで、かろうじて自分のちっぽけなプライドを保ってきたのだ
一方的に電話をきられた尚之は、このあとどうするつもりなのだろう
もう一度、電話をかけてきてくれるだろうか
美和は携帯をそばに置き、シュミレーションをしてみた
もしかかってきたら、電話に出たほうがよいのか
それとも留守番を聞いて、相手の気持ちを確かめるほうが先か
電話ではなくメールだとしたら
美和は尚之が好きなのだ
ただ、相手の煮え切らない態度にじれていた
どっちつかずの状況が、美和の不安定な気持ちに拍車をかけ、最悪の結果がでる前に先手をうつかたちになってしまった
三十分が経過した
もしかしたら尚之のほうは別れられてホッとしているかもしれない
明日になっても連絡がなかったら、この恋はこれっきり終わってしまうのだろうか
もし彼を失いたくない気持ちが本当なら、あなたのほうから電話ができるはずよ
美和の心の声がそう言っている
一度くらい、あなたから追いかけみたら
その声が美和を苦しめる
今が自分を改めるチャンスかもしれない
そうだ、自分から電話をしてみよう
その時、携帯が鳴った。尚之からだ
美和はちょっとだけ待って電話にでた
あ、美和。さっきの話だけど、俺もよく考えてみたんだけど…
止めて美和の心が叫んだ。お願いだから俺も別れたほうがいいと思うなんて言わないで
少し間が空いた
なに、どうしたの尚之。なにを考えたのか早く言って
俺、美和と別れることなんて出来ないよ
きたぁ。待っていた言葉だ。さぁ美和、なんてこたえる
どうして?
どうしてまたやってしまった。ここは素直に私もというところじゃないか
どうしてって、やっぱり美和が大好きだから
よっしゃ大好き、いただきましたぁ
そう。私はそうでもないけど
馬鹿か私はと、美和は思った
とにかく一晩考えさせてくれる
わかった。じゃあ
電話をきったあと、福原愛ばりに小さなガッツポーズをした
良かった。また尚之と付き合える。明日になったら、もういっぺんやり直してみることにした、と言えばそれでいい
ところが、現実はそんなに甘いものではなかった
いざ寝ようとしたら、もし尚之が一晩のうちに心変わりをしたらどうしよう…という心配が頭をもたげてきたのだ
時計を見ると夜中の二時半
美和はメールをうった
さっきはごめんね。私も尚之が大好きです。これからも宜しくお願いします
このメールをうつのに一分
大好きですのあとに、をつけるかどうかで三十分迷った
素直になれなくて…
=KOASA
寄席から帰ってきたよん
色んな人に会えて楽しかったよん
さて、今夜の物語は、あるOlさんのお話です
タイトルは、<素直になれなくて>
またやってしまった
尚之との電話をきったあと、すぐに美和はそう思った
やっぱり私たちはこれ以上無理だと思う。それじゃあ
今まで、何人もの男に言ってきた台詞だ
いつの頃からか、美和は相手につらくあたることでしか愛情の確認ができない女になってしまった
理由は明白で、要するに自分に自信がないのだ
これだけの無理を言ってもついてきてくれた
その事実だけが美和を安心させた
ところが最近は、それが徐々にエスカレートしていき、ふり返ると誰もいなくなっていた
美和の困ったところは、こちらの計算違いで男が去ろうとした時、後を追えないことだ
もし追いかけてふられてしまったら、当分立ち直ることが出来ないことが自分でもよくわかっていた
去る者は追わず
そうすることで、かろうじて自分のちっぽけなプライドを保ってきたのだ
一方的に電話をきられた尚之は、このあとどうするつもりなのだろう
もう一度、電話をかけてきてくれるだろうか
美和は携帯をそばに置き、シュミレーションをしてみた
もしかかってきたら、電話に出たほうがよいのか
それとも留守番を聞いて、相手の気持ちを確かめるほうが先か
電話ではなくメールだとしたら
美和は尚之が好きなのだ
ただ、相手の煮え切らない態度にじれていた
どっちつかずの状況が、美和の不安定な気持ちに拍車をかけ、最悪の結果がでる前に先手をうつかたちになってしまった
三十分が経過した
もしかしたら尚之のほうは別れられてホッとしているかもしれない
明日になっても連絡がなかったら、この恋はこれっきり終わってしまうのだろうか
もし彼を失いたくない気持ちが本当なら、あなたのほうから電話ができるはずよ
美和の心の声がそう言っている
一度くらい、あなたから追いかけみたら
その声が美和を苦しめる
今が自分を改めるチャンスかもしれない
そうだ、自分から電話をしてみよう
その時、携帯が鳴った。尚之からだ
美和はちょっとだけ待って電話にでた
あ、美和。さっきの話だけど、俺もよく考えてみたんだけど…
止めて美和の心が叫んだ。お願いだから俺も別れたほうがいいと思うなんて言わないで
少し間が空いた
なに、どうしたの尚之。なにを考えたのか早く言って
俺、美和と別れることなんて出来ないよ
きたぁ。待っていた言葉だ。さぁ美和、なんてこたえる
どうして?
どうしてまたやってしまった。ここは素直に私もというところじゃないか
どうしてって、やっぱり美和が大好きだから
よっしゃ大好き、いただきましたぁ
そう。私はそうでもないけど
馬鹿か私はと、美和は思った
とにかく一晩考えさせてくれる
わかった。じゃあ
電話をきったあと、福原愛ばりに小さなガッツポーズをした
良かった。また尚之と付き合える。明日になったら、もういっぺんやり直してみることにした、と言えばそれでいい
ところが、現実はそんなに甘いものではなかった
いざ寝ようとしたら、もし尚之が一晩のうちに心変わりをしたらどうしよう…という心配が頭をもたげてきたのだ
時計を見ると夜中の二時半
美和はメールをうった
さっきはごめんね。私も尚之が大好きです。これからも宜しくお願いします
このメールをうつのに一分
大好きですのあとに、をつけるかどうかで三十分迷った
素直になれなくて…
=KOASA