大学から博物館に出向して民俗学を研究する羽野千夏。研究テーマは、口承の民話や言い伝え。痴ほう症になりながらも、記憶のそこに残るものに興味を抱き、それを聞き出し、なぜ残るのかを調べようと、とあるグループホーム、風の里にやってきた。入所者は六人だけだが、個性が強く、問題老人ばかり。グループの他の施設から追い出されてきたものばかり。しかも予算がなく、介護士は三人だけ。だからだれも親身に老人たちの話を聞かず、画一的な行事やレクリエーションを押し付けるだけ。
そんなところにきた千夏は、まともに話し相手になることで、彼らと親しんでいく。そして徘徊癖があり、夕方になるとホームから出ようとしたがる老嬢ルミ子に注目する。何か訳がわからない言葉を呟いている。おろんくち。何を意味するか気になった千夏は調べてみるがわからず、ネットでも質問状をだす。
それに答えてくれたのは、高校をリタイアしたがっていた大地。教育ママにがんじがらめにされ、私立の名門高にまでは入ったものの、サボっていた。
昔いったことのある父方の祖母が住む山梨の山奥の村。夜聞かせてくれた祖母の昔話で聞いたことがあった。
それがきっかけで、二人はルミ子が口ずさんだ言葉をもとに、彼女の過去を探っていくことになる。
無事に過去まで明らかになったあとで、二人はルミ子の異常行動に隠されていた別の秘密を明らかにすることになる。一年前にボランティアにつれられて外出し、電車に乗ったルミ子は、異常な景色を目撃し、それがきっかけで、故郷の記憶を思い出したのだった。二人が辛くも未然に防いだ少女たちの誘拐と監禁事件。