ミステリー作家だった叔母の著作権を相続した姪の桜庭は、叔母の担当編集者だった勅使河原から叔母が暮らしていた鎌倉の家に呼び出された。叔母の遺作のゲラを見せるために。他にも目的があった。遺作は叔母のデビュー前の習作で、ノンフィクションだった。若い頃の叔母の実話をもとに書かれたらしい。
勅使河原は、遺作には削除されたエピソードがあった気がするという。遺作のあちこちに、よく読み込むと、ヒントらしきものがあると。
彼女にも確かめてもらいたいと、その場で読むことを依頼される。こうして叔母の遺作の本文が読者にも開示される。
桜庭の母親は叔母の姉で、仲はよくなかった。母は叔母を嫌っていた。それを聞いて育った桜庭も、亡くなるまで介護した経験もあり、叔母を嫌っていた。遺作を読んでも、その思いは変わらなかったが。
勅使河原から思いもかけないヒントを受ける。遺作の主人公は叔母がモデルだと思っていたが、実は彼女の親友こそが叔母のモデルだった。その気で見直すと、確かに伏線らしき叙述があちこちにある。
さらに勅使河原は登場人物たちのその後を調査し、遺作の主人公まで見つけていた。彼女は鎌倉に会いに来てくれると。
叔母の親友、響は、なんと削除された遺作のエピソードを預かっていた。
読ませてもらった桜庭は、叔母への印象が変わる。嫌なとこもあるが、こんな魅力もある人だったんだと。
なかなか興味深い作品だった。通常のミステリーとは違うミステリーだが、楽しめた。