朝小雨があったが、晴れる見込み。ただ来週は積雪もありそうで、水曜が期限の図書館本があり、先ほど返却にいってきた。それ以外は延長できたが、それだけ予約者がいて、延長できなかった。

新たに二冊借りてきた。一冊は既読かもしれない。もう一冊は前に挫折して読めなかったもの、再チャレンジ。

今日借りた本


相沢沙呼

「教室に並んだ背表紙」

集英社、2020-2021


津原泰水

「夢分けの船」

河出書房新社、2023


警視庁捜査一課殺人班第二係の二人のはるかによる外国人女性殺人事件の捜査を描いた警察小説。

志々目春香と相棒を組む、後輩の藤堂遥は、男女ながら名コンビ。捜査本部が立ち上がると、通常警視庁の刑事と所轄の刑事がコンビを組むが、春香が女性であることから、これまでゴタゴタしていたが、当時所轄の刑事だった遥とはうまくいったことから、藤堂は警視庁に呼ばれ、以後このコンビが定着した。

大久保の古いマンションの一室で、女性の遺体が見つかる。首を絞められ、骨も折れていたことから殺人事件として捜査が始まるが。

被害者はベトナム人、技能実習生として来日し、四国松山の海産物加工工場で働いていたが、脱走し、東京へ。

マンションでは同郷のもの数人と同居していたらしい。通称はリンダと呼ばれる彼女の身元もわからず、捜査は難航する。同居人たちは違法滞在のため、迂闊に警察には近づかす、証言もしないため、はじめはてこずるが、やがて、強制退去はさせず、事件の真相だけを追求しているとの、春香の言葉が信用され、証言が少し得られる。

彼らの仕事と住まいを斡旋する謎の人物Q、リンダに付きまとう暴力団の男など、怪しい人物は出てくるが、決め手がない。

最初にリンダを世話した松山の衣笠社長は、地方の名士で、外国人たちにも優しい人物に見えたが。やがて、実習生三人と浮気したことがわかり、さらに、彼らに衣笠夫人から金が渡されていたことがわかる。二人は東京に来ていたことも否定して嘘をついたことがわかり、取り調べを受ける。はじめは黙秘していた社長は夫人まで疑われていると知り、自供。夫人まで自供してくる。

だがどちらもしっくり来ない。春香は、もう一人誰かがかんでいると。

そして明らかになったのは、違法滞在の外国人から搾取していた暴力団員の存在だった。

無事事件は解決したが、事件の背景となる技能実習生問題は、変わらないまま。

科学にまつわる、科学で明らかになるエピソードが五つの短編集。

山口県萩市の近くにある小さな島、見島。その地質調査のために、岩石を研究する女性が島で出会った奇妙な男。萩焼の伝説的な陶工を先祖にもつ男は、先祖が使った萩焼に独特の赤みをもたらす島の粘土と、先祖が築いた窯を探していた。


東吉野で聞かれた絶滅した狼の遠吠え。都会に破れたウェブデザイナーの女性と、紀州犬を飼う、下宿先の大家の小学生の男児が、その痕跡をおう。狼との交雑により生まれた狼犬が、二人の目の前に現れる。


長崎市の北にある集落の空き家調査に出向いた職員が見つけたのは、大量の瓦やコンクリの欠片。がらくたかと思えたが、実は長崎に原爆が落とされたときを明かす貴重な資料の山だった。その調査に関わった二人の男たち。師範学校で博物学を研究していた男と、原爆で破壊された浦上天主堂で神父だった男。


北海道旭川に落ちた隕石。発見者の地元郵便局の名前がつけられると信じていた女性は、歴史ある、今は破棄された郵便局の初代の局長でもあった父のためにと、発見場所をごまかそうとしたものの、双子の隕石の発見により、諦める。


海岸から沖に出ると黒い川が見える。それが黒潮。南から魚を呼び寄せる黒潮。海亀も産卵に訪れる。護岸工事により、近年は数が激減して、観光も調査もなく、寂れた姫ケ浦海岸に住む女子中学生は、自分で卵を孵して育てようとしたが。海亀がつけていたタグを便りに、カナダからやって来た青年の話に、心を入れ換えることに。